米軍、土壌採取を拒否 県申請に「調整つかず」 泡消火剤流出


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今月21日行われた泡消火剤が流出した水路付近の立ち入り調査=米軍普天間飛行場

 10日に起きた米軍普天間飛行場からの泡消火剤流出事故を受け、県と宜野湾市、沖縄防衛局などは24日、日米地位協定の環境補足協定に基づく同基地への立ち入り調査を実施した。県は協定の締結時に交わされた日米合同委員会合意に基づき、基地内の土壌をサンプル調査できるよう沖縄防衛局を通じて申請していたが、米側は日米間の調整がつかなかったとして拒否した。県の普天間朝好環境企画統括監は「非常に残念」とし、土壌汚染が残っている場合は地下水汚染につながる恐れがあるとして改めて採取を求めるとした。

 環境汚染事故を理由とした補足協定に基づく米軍基地への立ち入りは、今回の事故が初の事例で、日本側の立ち入りは3回目。

 流出した泡消火剤には製造・使用が国際的に原則禁止されている有機フッ素化合物PFOS(ピーフォス)が含まれていた。

 米軍はこの日、格納庫そばの土壌を広さ約65平方メートル、深さ約15センチにわたって掘り起こして除去した。除去範囲は事故当時の状況や天候などに基づき米側が決めた。作業には日本側の関係者も立ち会った。米軍は掘り起こした土は県外で処分すると説明した。

 県は、除去した部分より下の層が清浄化されたかを確認するための土壌採取のほか、除去部分とは別の区域で汚染の有無を確認するための採取も引き続き求める方針。

 米軍から県への説明では、今回の事故で米軍自身がサンプル調査を実施したとの報告はなかった。

 県が求める土壌採取が認められなかったことについて河野太郎防衛相は24日の記者会見で「PFOSの泡を含む水が流れた土壌なのでPFOSを含んでいるのは間違いない」とし、土壌の採取を必要とする地点が県側の認識とは異なるとの考えを示した。

 その上で「我々としてはエプロン(駐機場)の反対側にPFOSを含んだ水が流れていないかを確認をするための土壌のサンプリングについて調整をしている」と説明した。

 環境補足協定に伴う日米合同委員会合意は、汚染事故が起きた場合には米軍が実施するサンプル調査と「併せて」日本政府や自治体がサンプル採取することを「申請できる」としている。