新型コロナウイルスの感染拡大で沖縄県内でも飲食店や宿泊施設の休業が相次ぐ中、第一線で観光産業を支えてきた県在住の外国人留学生らが苦しい生活を余儀なくされている。来客数が大幅に減少したことなどを理由にアルバイト先からシフトを減らされ、収入が激減した。
専門学校に通う那覇市在住の20代ネパール人女子学生は、新型コロナウイルス感染の不安が広がっても3月まで居酒屋でアルバイトを続けていた。「怖いけど、生活のために続けた」と語る。しかし今月に入ってからシフトが減らされた。「来月の家賃が払えるか分からない。学費の残りはどうするか学校と相談する」と肩を落とす。
県内でも感染者の増加が続くが、関係する情報はほとんど日本語でしか発信されていない。女性はネパール出身の先輩やアルバイト先から得られる情報を頼りにする。「コロナの情報をもっと知りたい」と訴えた。
中国語が話せるネパール人の専門学校生、グルン・スバスさん(26)は語学を生かしてドラッグストアで働く。来県する外国人観光客が大きく減少した2月以降はシフトが減らされ、3月に入ってから出勤はゼロになった。「貯金はあと2~3カ月分しかない。いろいろな所に電話をかけて仕事を探しているけど、コロナのせいでどこにもない」と途方に暮れる。
那覇市久茂地の雑居ビル前。正午になると留学生たちが集まり弁当を受け取る。無償で提供しているのはビルに入居する居酒屋の経営者・新城正巳(まさみ)さん(55)だ。6日から毎日弁当を配り、25日で延べ千食を数える。
24日に受け取りに来たベトナム人のブ・ドアン・ズンさん(26)はITを学びたくて2年前に来沖した。日本語学校に通った後、今年4月にITの専門学校に入学したが、感染拡大の影響で今は休校している。アルバイト先の居酒屋は客が減り3月から休業している。1日の食事は無償の弁当だけ。厳しい状況に置かれながらも、弁当を受け取り「日本人は優しいですね」とほほ笑む。「沖縄はベトナムと雰囲気が似ている。もうちょっとここで頑張りたい」
弁当作りと配布は学生たち自身も手伝っている。「弁当作りがなければ僕も店を閉めてメンタル(精神)が持たなかっただろう」と新城さん。「彼らにとって友人や家族と連絡の取れる携帯電話が命綱だ。行政は携帯の使用料金や学費、家賃を支援してほしい」と訴えた。(呉俐君、伊佐尚記)