津堅島イモ害虫「根絶宣言」へ 国が来月検査 確認できれば世界2例目


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アリモドキゾウムシ(県病害虫防除技術センター提供)

 サツマイモなどのイモ類に被害を与える病害虫アリモドキゾウムシのうるま市津堅島での根絶に向けて、国は5月1日から津堅島で駆除確認検査を開始する。根絶が確認されれば、アリモドキゾウムシの生息域から津堅島を除外する農林水産省令改正の手続きを経て、正式に根絶宣言される。国は年度内の根絶を見込む。津堅島で根絶が確認されれば、久米島に続いて世界で2例目。

 世界各地の熱帯・亜熱帯地域に分布するアリモドキゾウムシは、サツマイモの葉や茎、ヨウサイ(ウンチェーバー)、アサガオ類などに寄生する。県は2007年から約13年間かけて駆除作業を実施。分布調査や雄の駆除作業、不妊虫の散布などの作業で地道に寄生ゼロを目指した。

 これまで県は10年11月に津堅島で寄生がないことを確認したが、度重なる発生で完全な根絶には至らなかった。県病害虫防除技術センターの佐渡山安常所長は「防除で数は減るが、ゼロにするのは難しかった」と振り返る。今回、1年以上寄生ゼロが続き根絶が見込める状態になったことから、3月26日に国に最終確認調査を依頼した。

 国は5月から半年間、島内にトラップ(わな)約140個を島内の道路や畑の脇などに設置し、寄生調査をする。本島から津堅島にサツマイモやウンチェーバーなどが持ち込まれると、アリモドキゾウムシが再発生する可能性がある。県病害虫防除技術センターと農林水産省那覇植物防疫事務所は、これらの植物を持ち込んだり送ったりしないよう呼び掛けている。