寮に戻ったら休校 行事も留学も取りやめ 帰省もできず孤独な寮生たち


この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報社
寮暮らしで洗濯物を干す仲村吏生さん=30日午後、南風原町新川の開邦高学生寮

 新型コロナウイルス感染症対策の臨時休校が長期化する中、沖縄県立開邦高校の寮には離島出身の一部生徒が帰省を我慢して残っている。学校行事や全国高校総体の中止、海外留学の取りやめなど、生徒らは数々の“災難”を孤独に受け止めながら、自習に励み、再開の日を待ちわびる。

 先週末、2年の稲荷大真(ひろま)さん(16)に県費留学の中止を知らせるメールが届いた。北欧エストニアへの長期留学を心待ちにしていた稲荷さんは「予想はしていたが、やっぱりがっかりした」と小さくつぶやいた。エストニアはウインタースポーツができ、関心のあるロシア語も学ぶことができる。「自分の望む環境と合致していた。オリエンテーションも受け、準備していたのに」とショックは大きい。

 稲荷さんはバスケ部に所属するが、休校中は部活もできない。「今年は先生も選手もそろっているいいチームだ。尊敬できる3年生と一緒に大会に出たい」と、早期の終息を望む。

 石垣島出身の2年生、仲村吏生(りき)さん(16)は本島に到着した翌日、休校の知らせを受けた。「もう少し早く決まっていたら石垣に残っていた」とタイミングを恨む。約100人の寮生のほとんどは帰宅し、残っているのは10人だけ。「同じ毎日が続いている。学校は(寮から)見えるのに行けない」と、苦笑いする。帰省も考えたが、実家は祖父母も同居しているため「自分がウイルスを持ち帰るわけにはいかない」と我慢する。

 宮古島出身で3年生の石川瞬平さん(17)は、部活動の大会や文化祭の相次ぐ中止に「気力を無くしかけている」とこぼしつつも、ひっそりとした食堂で黙々と受験勉強に励んでいた。
 (稲福政俊)