「戦後の子へ贈り物」 こどもの国開園50年 夢と希望、時代合わせ


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 【沖縄】沖縄の日本復帰を目前に控えた1970年5月5日、コザ市(現沖縄市)胡屋に「沖縄こどもの国」が開園した。米軍施政下にあった当時、沖縄では数少ない子ども向けの施設だった。沖縄の早期返還や県民の福祉向上を目的に設立された南方同胞援護会(現沖縄協会)が建設資金を調達するなど、県内外の多くの人が携わり開園に至った。50年の節目に、同園の歩みを振り返る。

開園時に親子連れらでにぎわう沖縄こどもの国(同園提供)
ゾウと触れ合う子どもたち=沖縄市胡屋の沖縄こどもの国

 南方同胞援護会が68年から建設計画を進め、複数の候補地の中からコザ市が選ばれた。復帰を記念しようと、全国の小中学生が募金に取り組んだという。コザ市史によると、国の補助金なども含めて2億3千万円が集まった。こどもの国の屋比久功事務局長は「戦後の厳しい時代を生きた、沖縄の子どもたちへのプレゼントだったのだろう」と話す。

 自然公園を目指すという構想の下、動物舎や水族館、博物館の建設を計画した。開園当初はシカやサル、タヌキなどを飼育、展示した。沖縄在来の動物の飼育、保護にも取り組んだ。2004年には既存の動物園に加えて、ワンダーミュージアムとチルドレンズセンターが完成し、リニューアルオープンした。

 時代の変化に合わせて、子どもたちに夢や希望を与えてきた沖縄こどもの国。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、現在は臨時休園している。神里興弘園長は「園を愛し、支えてくれた県民に感謝の気持ちでいっぱいだ。休園中だが動画などで動物たちの様子を見て楽しんでほしい」と話し、子どもたちの笑顔が戻ってくる日を待ち望んでいる。

(下地美夏子)