脱「3密」イベント練る 玉泉洞、職員向けの外国語学習も 〈観光地のいま〉2


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 南城市玉城前川にある「おきなわワールド文化王国・玉泉洞」。洞窟探検やエイサー、ハブのショーなど、沖縄の自然や文化、歴史などを体感するテーマパークで、年間100万人の観光客が訪れる。現在、新型コロナウイルス感染の影響によって4月9日から臨時休園している。

 毎年連休中のこの時期は多くの観光客でにぎわうが、今年は入り口のゲートは閉じられ、辺りは閑散とし近くの牛舎から聞こえてくる牛の鳴き声だけが響く。

休園している「おきなわワールド文化王国・玉泉洞」の入り口。門は閉まったままになっている=4月28日、南城市玉城前川

 「入社して10年目になるが、このような光景はこれまで経験したことがない」。おきなわワールドを運営する南都の社員、大城宗久さん(34)は苦しい胸の内を吐露する。「開園中は次々にお客様が入っていた。休園してから、お客さまがいかに大切な存在だったのかを身に染みて感じる」

 開園の見通しが立たない中、職員同士で営業再開に向けた取り組みを練っている。「『3密』を回避するような、これまでとは違った見学方法やイベント内容を考えなくてはいけない」と語る。現在職員のほとんどが自宅待機している。「外国人のお客さまも多いので、社員向けの中国語や英会話などの講座ができないか模索中だ。再開に向けて職員一同頑張っていきたい」と前を向いた。

 一方、南城市の南端部にある奥武島では、外出自粛が続く中、釣りや海水浴をしに訪れる行楽客がいた。奥武島といえば名物の天ぷらが人気。天ぷら店の前では連日県内各地から訪れる人であふれ、列をつくる。海外の観光客も買いに来る。

 しかし現在、コロナの影響でほとんどの店が休業している。「せっかく宜野湾から来たのに天ぷら売っていないの?」と天ぷらを求めて引き返す人の姿もあった。

 中本鮮魚てんぷら店の中本健一さん(64)は「お客さんに感染するリスクもあるが、何より島にはお年寄りがいて迷惑が掛かる。営業を停止するしかない」と声を落とす。人気店であるが故、働く従業員も多い。「給料も支払わなくてはいけない。いつ再開すればよいのか分からない。早く終息してほしい」と願った。
 (金城実倫)