「店開けざるを得ない」協力金上乗せなし、沖縄県の休業要請延長に不満


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 玉城デニー知事は5日、県独自の緊急事態措置の31日までの延長を発表し、事業者への休業要請については2週間延長して20日まで継続するとした。休業要請に応じた事業者への協力金についてはこれまでの20万円に上乗せをせずに期間を延長する形となり、経済関係者からは「生活のために店を開ける事業者も出てくるかもしれない」と危ぶむ声が上がっている。

 休業要請の対象となるバーやスナックなどが加盟する県社交飲食業生活衛生同業組合には、加盟している店舗から「7日以降の営業はどうすればいいのか」と問い合わせがあるという。協力金なしの休業要請の延長に対し、下地秀光理事長は「7日以降、5割程度の店は営業を再開すると思う」と無念そうに話す。

 下地理事長は「感染拡大防止に協力したい思いはみんな持っている。しかし、多くの店は従業員の生活を守るために店を開けざるを得ない状況に追い込まれている」と語り、休業期間中の支援を改めて要望した。

 4月24日以降、県内のパチンコ店は全店休業している。業界関係者は「休業が2週間延びることは、大きなマイナスだ。今後も県内全店で足並みをそろえて休業できるかは分からない」と見通しの不透明さを指摘する。パチンコ各社が加盟する県遊技業協同組合の山田聡専務理事は「県の判断を真剣に受け止めるが、補償がない以上安心して休業できる状況にはない。延長するなら、今まで以上に目に見える補償を強く打ち出す必要がある」と話した。

 沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は「ここまで来たら徹底して封じ込めることが経済回復に最も効果的だ」として、国や県の対策を支持する見解を示した。一方で収入の入らない期間が2週間延びることは非常に厳しいとして「国難なのに、都道府県財政力の違いで支援に差が出るのはおかしい。国は地域の実情に応じた強力な支援をすべきだし、県は国にきちんと要求してほしい」と求めた。

 観光産業は、東京や大阪など大都市圏が特定警戒地域に指定されていることもあり観光客の受け入れ再開までの期間は長引くと予想される。沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「回復には時間がかかる。その間、地元企業が経営を継続していけるような支援が必要だ。感染が収まった時に観光を担う経営体力をしっかり残さなくてはならない」と強調。行政の支援拡充の一つとして、雇用調整助成金の手続き簡素化と窓口の増加を求めた。