新型コロナウイルスの影響で開幕が延期となっているプロ野球リーグ。長く続く自主練習期間にも「今日必死になれない人が、後から必死になることはできない」とパ・リーグで2年連続本塁打王に輝いた埼玉西武の山川穂高選手=那覇市出身=は、バットを振ることを止めない。
学生時代から「練習の虫」。苦しい時こそ一層、練習に打ち込む姿勢は今も変わらず、2018年に県勢初の本塁打王を獲得。球界を代表する強打者へと成長した。
新型コロナで全国高校総体、中学総体の中止が決まり、子どもたちは活躍の場を失っている。山川選手は数々の逆境に打ち勝ってきたからこそ「きつい練習を今だからこそすべき」と力を込める。
「やらない人はうまくならない」 厳しい壁超えた過去
どの競技でも、第一線で活躍する選手は自身のことをよく知り、逆境に立ち向かうすべを知っている。プロ野球埼玉西武の山川穂高もその一人。
2年連続でパ・リーグの本塁打王を獲得するなど、球界屈指のスラッガーだ。輝かしい成績の裏には、競技継続が困難になるほどの壁を超えてきた過去があった。
小学生のころに野球を始め、中学では硬式野球の「SOLA沖縄」でプレーした。中学時代から突出した身体能力を見せ、主軸として活躍し、全国大会も経験した。
甲子園出場を目指し、強豪校の中部商業高に進む。中学からの勢いそのままに、高校でも活躍できる自信はあった。しかし県内各地から集まった強力なライバルたちのスイングの切れ、実力を目の当たりにし高い壁を感じた。当時は先輩との厳しい上下関係もあり「野球人生で最も地獄に感じた」。
家に帰ると思わず弱音を吐いてしまうこともあったが、いつでも母・喜代子さんが味方になってくれた。親身になってくれる母の後押しもあり、前を向くことができた。
「今日必死になれない人が、後から必死になることはできない」と一層練習に打ち込んだ。全体練習の後は盛根一美監督(当時)に練習の「おかわり」を欲しがり、真っ暗になるまでバットを振った。誰よりも量をこなし、厳しい練習を続けたからこそ今がある。
(喜屋武研伍)
山川からメッセージ
―沖縄の子どもたちへ。
「今、練習できないという人は完全なる言い訳で、練習は絶対にできるはず。きつい練習を今だからこそすべき。(部活が)再開する時は必ず来る。体も心も成長し、技術的にも一個でも二個でも増やしておくことが大事。野球はやっていないと(体も技術も)落ちていくスポーツ。必ず何かできるはず。家庭環境も違うし、個人差があるので全員に良い自主練習はない。しかし極端な話、誰もがトレーニングの量をこなせばいい。例えば素振りを千回するのに4時間半かかる。腕、足の感覚がなくなるまでやる。やる人はうまくなるし、やらない人はうまくならない」
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新型コロナの影響で部活はできず、目標とする大会が中止となった子どもたちへ、県出身アスリートが自身の経験を振り返り、エールを送る。