那覇空港の誘導路建設工事に伴う磁気探査で、沖縄戦当時のものとみられる米国製250キロ爆弾3発が4月17日から29日にかけて相次いで発見された。現場はこれまで掘り返しを伴う工事が行われていなかったとみられ、沖縄総合事務局は「今後も不発弾が出る可能性はある」としている。識者は「飛行機の離着陸による振動で埋まっている不発弾が爆発する可能性もある」と指摘し、詳細な調査を提案している。
■米統治下の処理不明
工事は滑走路と駐機場をつなぐ誘導路を4本建設するもので、9月まで続く予定だ。このうち3本は着工している。3発の不発弾は全て北東の工事現場の地下2~3メートルで見つかった。
那覇空港の前身は1933年に完成した日本海軍の小禄飛行場だ。44年10月10日の10・10空襲をはじめ、沖縄戦で激しい攻撃にさらされた。防衛庁(現防衛省)防衛研修所がまとめた戦史「沖縄方面陸軍作戦」によると、45年1月にも同飛行場は銃爆撃を受けている。同年6月に米軍に占領され、米軍管理の那覇飛行場となった。米統治時代にどの程度、不発弾が処理されたのかは不明だ。
72年の日本復帰に伴い日本政府管理の那覇空港となり、滑走路の延長や建物の建設が行われた。那覇市によると、復帰後に同空港で発見された不発弾の処理は20件行われた。
総合事務局の担当者は「現在の建物や滑走路がある深さまでは磁気探査をしたと考えられる。実施が確認できない場所で工事をするときは磁気探査をしている」と説明する。
■広域の調査を提言
不発弾処理の研究をする、名桜大学の大城渡教授(憲法学)は「離着陸の振動で不発弾が爆発する可能性もある。過去の磁気探査が確認できない場所は全域で早急に磁気探査をすべきだ」と提案する。
地盤工学を専門とする松原仁琉球大学准教授によると、着陸による振動の加速度(揺れの指標)は地表から深くなるほど急激に小さくなることが過去の研究で分かっている。ボーイング737の着陸時に地表では約2千ガルの加速度が発生する。東日本大震災の加速度(3千ガル弱)の3分の2程度だが、地下15メートルでは観測できないレベルにまで下がる。
松原准教授は「爆弾は信管の不具合などが原因で不発弾となる。不発弾が爆発する原因は振動だけではなく、どの程度の振動が危険なのかは一概には言えない」とする。それでも「振動によって爆発する可能性はある」と指摘する。「万が一、離着陸時に飛行機が滑走路から外れて、地表のすぐ下に不発弾があった場合は危険だ。不発弾がどこに埋まっているかは調査すべきだ」と述べた。
地質の粘性が高いほど振動は伝わりにくくなるため「那覇空港の地質を確認して加速度の減衰率を把握することも重要だ」と話した。
(伊佐尚記)