「一歩前進だ」「何を基準に?」 休業要請の解除に経済界から歓迎と戸惑いの声


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 県は11日、新型コロナウイルス感染拡大を防止するために出していた企業や施設の「休業要請」について、一部の業種を除いて14日以降の解除に前倒しすることを発表した。当初、休業要請を20日までとしていたが、経済活動を徐々に再開させる方向へ方針を転換した格好だ。県内経済界から「一歩前進だ」と歓迎の声が上がりつつも、突然の発表に戸惑いも広がる。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「県経済の復活に向けて一歩前進した」と評価した。ただ、休業要請解除は県民の消費行動には効果があるものの、「県外主要都市から安心して観光客を受け入れられるようになるまで、観光の大きな回復は厳しい」との見解を示す。その上で「県民が宿泊施設や土産品店などを応援する動きが必要だ」と強調し、社会経済活動の再開に伴って県民による県内ホテル利用を促していくなどの支援や対策を提起した。

 一方で、本島北部のリゾートホテル関係者は「県が何を基準に解除したのか分からない。科学的な裏付けはあるのか」と述べ、これまでの自粛要請との整合性に疑問を呈した。感染の第2波、第3波が来る可能性も考えられるとして「感染者が出るたびに休業要請をすることになりかねない。ガイドラインを企業に作れというのも責任を放棄している」と指摘した。

 リウボウホールディングスの糸数剛一会長は「部分的解除は喜ばしい」と評価した。同社の百貨店「デパートリウボウ」は地下1階の食品売り場を除いて4月21日から全館休館している。糸数会長は「休業要請が短縮されることも予想して『当面の間』の休業としていた。関係機関と確認をとって(12日の)昼前にはオープンの日を決める」と早期の営業再開へ意気込んだ。

 全国的に営業継続が問題となってきたパチンコ店は、県内では4月24日から全店で休業を続けてきた。県遊技業協同組合の山田聡専務理事は「(事業者の)マグマは沸騰していた。再開が近くなったことは非常に大きい」と胸をなで下ろした。「(休業要請中に)営業再開に踏み切る店舗が出てきたら、そこに客が集中し3密になる可能性も高かった。全店一斉に開業できれば密集を防げる」と評価する。

 県は14日以降、バーやスナックなどの営業は認めつつも、酒類提供を午後9時まで、営業を午後10時までと求めていく。約2400店舗が加盟する県社交飲食業生活衛生同業組合の下地秀光理事長は「バーやスナックはこの時間帯で営業しても客は来ない。この内容では今まで通り自粛を続けるしかなくメリットはあまりない」と疑問視する。加盟店の中にはすでに廃業する店舗も出始めているとして「協力金の申請は必要な資料が多く給付時期も遅い。必要な支援を早めにしてほしい」と求めた。