スピードのあるドリブル、他選手を生かすパスセンスから「ファンタジスタ」と呼ばれ、バスケットボールファンを魅了し続ける並里成(30)=沖縄市出身。琉球ゴールデンキングスでは主軸として活躍し、3年連続の西地区優勝に導いた。向上心は尽きず、今も挑戦を続ける。
米軍基地が身近にある沖縄市で生まれ育ち、アメリカの文化は身近にあった。外国人とストリートバスケをし、米軍基地関係者向けのテレビ「6チャンネル」を視聴、米プロバスケットボールNBAの選手のプレーにくぎ付けになった。海外への憧れは徐々に強くなった。
諸見小4年時は全国優勝、コザ中学では全国ベスト8、福岡第一高校に進むと1年時で日本一を経験した。高校卒業後、スラムダンク奨学金の第1期生として渡米した。身近な選手がNBAで戦う姿を見て、「夢から目標に変わった」と挑戦を決意した。NBAには3度挑戦した。1度目よりも2度目と手応えは確実になっていく。球団のGMから「取るよ」と電話もあった。だが、指名はされなかった。
3度目の挑戦が終わり「初めてバスケを嫌いになった」と振り返る。1週間はボールに触れず、町中を散歩したり、買い物をしたりして気持ちを整理した。落ち着くと、支えてくれる家族、応援してくれる友人や知人のことが頭に浮かんだ。また挑戦したいという気持ちが湧き上がった。
「沖縄を元気にしたい。まずはチームの優勝、そして五輪出場を果たしたい。チャンスがあればNBAを目指す」と言葉に力を込める。まだまだ夢の途中だ。
(喜屋武研伍)
並里からメッセージ
「目標を決めて、そのために頑張る。すぐには結果は出ない。結果を信じて頑張ることが大切。部活再開後に、しっかり競技に打ち込める状態に仕上げておく。(自主練習は)体幹トレーニングが重要だ。けが予防にもつながる。(主要大会が中止になった)学生は特に、モチベーションを上げるのは難しい時期だと思う。だが、今がライバルと差をつけたり、追い付いたりすることができる時期だと考えてほしい。(自分の)諦めずに戦う姿を見てほしい。日頃の生活もそうだが、正しいことをすれば、自分に正しく結果が返ってくる」
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新型コロナの影響で部活はできず、目標とする大会が中止となった子どもたちへ、県出身アスリートが自身の経験を振り返り、エールを送る。