「客ない、保証ない、給付金で生活できない」 個人タクシー悲鳴


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 【中部】「個人タクシーはいまお手上げ状態だ」。新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの人が外出を控える中、タクシー業も経営面で大打撃を受けている。本島中部で個人タクシーを営む男性(56)=うるま市=は「法人タクシーと違い、最低限の収入さえも保証されていない」と悲鳴を上げた。

「客がいなくてお手上げ状態」と話す個人タクシーの男性運転手=13日、うるま市内

 男性によると、県内で最初の新型コロナ感染者がタクシー運転手だったことが明らかになって以降、利用客は急激に減少したという。病院敷地内で客待ちをしていた時、「(このタクシーは)コロナにうつらないか」とも言われた。入っていた予約はすべてキャンセルとなった。1月の売上金が7万6千円だったのに対し、2月は1万1千円と激減した。

 別の個人タクシーの男性運転手(56)=沖縄市=も苦境に立たされている。心労で体調の悪い日が続く。感染が拡大する以前は、大型クルーズ船の訪日観光客を那覇市などでよく乗せた。タクシーが足りない状況が、現在は一変した。「もう那覇に行っていない。赤字になることが分かりきっている」

 感染拡大以降、うるま市社会福祉協議会と沖縄市社協には個人タクシー事業者から融資の相談が相次いでいるという。うるま市社協の担当者は「状況は厳しい。客が街中にいないからタクシーを走らせずに家で休んでいるという人が多い」と話す。

 今月から、国が全国民へ一律で10万円配る「特別定額給付金」の給付が県内で始まっている。うるま市の個人タクシー運転手は「10万円の給付金で本当に生活ができるのか。政治家に問い掛けたい」と力なく言葉を発した。まったく足りないと言い、国や県に大幅な支援策を求めた。

(砂川博範)