「まだ正式決定でない」開催へ望み 夏の甲子園中止検討に沖縄県関係者


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第92回全国高校野球選手権大会で「夏の甲子園」県勢初制覇と史上6校目となる春夏連覇を果たした興南高=2010年8月21日

 日本高野連が全国選手権大会について中止の方向で検討していることについて県内の関係者からは開催の可能性を信じたいという声が多く上がった。

 昨年の秋季大会で準優勝し、初の九州大会出場を果たした八重山農林は、夏に向けて打撃面の課題に取り組んでいた。新里和久監督は「非常に残念な知らせだが、命に関わる問題なので複雑。皆が甲子園という目標に向かって頑張っていた」と悔しがる。大浜圭人主将は「甲子園がなくなっても、最低でも県大会はやってほしい」と祈るような気持ちで個人練習を続けている。
 全国選手権に9度出場している沖縄水産は昨年の新人中央大会で優勝し、“古豪復活”を合い言葉に夏への準備を進めてきた。上原忠監督は正式決定までどのような対応も可能なよう備えるとしつつ、開催されない場合について「選手のメンタルケアを考えたい。目標はなくなっても、部活を通した人間形成という目的はなくならない」と話した。
 県勢初の春夏連覇を果たした興南高の関係者は正式決定ではないとし、「最後の最後まで球児の夢を失わせるような発言はできない」と話すにとどめた。
 90、91年に沖縄水産のエースとして夏に準優勝を果たした大野倫さんは、中止の方向に向かっていることについて「決定は6月末でもよいのではないか。開催に向けた議論は尽くしたのか」と疑問を投げ掛けた。自身の経験も踏まえて「子どもたちは小さい頃から甲子園の夢に向かって頑張ってきて、絶対にやりたいはず。コロナの状況が好転するかもしれないし、なんとか出させてあげたい」と選手をおもんぱかった。