「徹底的資金供給を」「観光はリード役、さらに産業育成して」 県経済団体会議・石嶺議長に聴く


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 経済活動の再開に向けて動き出す中、新型コロナウイルスの感染拡大による県経済の影響と今後の見通しなどについて、県経済団体会議の石嶺伝一郎議長(県商工会議所連合会会長)に聞いた。

 ―県経済の現状は。

 「那覇商工会議所は相談窓口を設置しているが、相談者から『廃業も考えざるを得ない』という沈痛な思いも聞こえてくる。感染症の影響は過去に例がないほど深刻だ。収束の出口が見えないことも事業者の不安に拍車を掛けている。長期化すれば倒産、廃業に追い込まれる企業が加速度的に増えることが懸念される」

 ―観光主体の県経済が外的要因に作用されやすいという指摘もある。

 「観光業が外的要因に大きく作用されることを今回ほど強く突き付けられたことはない。しかし、沖縄の自然的、文化的な特性は国際競争力のある観光資源だ。観光産業はこれからもリーディング産業として県経済を引っ張っていくことになるだろう。その上で、情報通信関連産業に加え、農林水産、加工貿易型産業、国際物流、健康・バイオ産業など発展可能性の高い産業を戦略的に育て上げていくことが肝要だ」

 ―今後はどのような支援が必要か。

 「今、必要なことは徹底的な資金供給だ。国、県は必要な資金を一刻も早く事業者の手元に届けることに最重点で取り組むべきだ。助成金の手続き簡素化や制度の拡充、即日で融資可能な公的制度の創設、固定費の支援や持続化給付金の積み増しなどが考えられる。国は本年度第2次補正予算案の作成を急いでもらい、困窮する国民、事業者支援に万全を期してほしい」

 ―14日に休業要請が一部解除されたが、見解を。

 「唐突の感はあるが、営業が再開できる事業者にとっては朗報だ。しかし、営業が再開できても感染拡大前の経済状況に戻るまでには相当の時間を要し、営業自粛が継続する事業者もいる。国や県は中小・小規模事業者へ手厚い資金支援をお願いしたい」

 ―県内企業にメッセージを。

 「中小・小規模事業者にとって今がまさに踏ん張りどころだ。事業継続と雇用維持のために、国や県、市町村の支援策を最大限活用してほしい。経済団体会議としても支援相談、国や県への提言を進めたい。県内企業がコロナに負けないよう国や県、市町村と連携して最大限努めていきたい。互いに助け合い、団結し、危機を乗り越えていこう」
 (聞き手 池田哲平)