経済危機、次期振興計画に回復策「観光客数だけ求める時代終わった」 富川副知事インタビュー 


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新しい沖縄振興計画策定に向けたビジョンを語る富川盛武副知事=12日、県庁

 日本復帰48年に合わせ琉球新報は15日までに、2021年度に期限を迎える沖縄振興特別措置法(沖振法)について富川盛武県副知事にインタビューをした。富川副知事は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済危機で次期沖縄振興計画の策定にも影響が出ると危機感を表し、20年度中にまとめる骨子案に回復策を盛り込む考えを明らかにした。一問一答は次の通り。
   ◇    ◇
 ―新型コロナの影響をどうみるか。
 「未曽有の経済危機だ。回復には数年かかるだろう。インパクトが大きくて次期振計もマイナスからの出発となる。本年度に作る骨子案にコロナの影響からどうやって回復していくか新たな項目を入れたい。それを前提に新たな沖縄振興計画を練らないといけない厳しい状況だ」

 ―新たな沖振法の必要性をどう考えるか。
 「沖新法で規定される特殊事情が解消されていない。特に社会的問題化している基地問題だ」
 「これまで沖縄は国に(経済水準などを)引き上げてもらう立場だった。今は世界レベルのホテルが進出するほどマーケットが沖縄を求めている。これから沖縄はアジアのダイナミズムを取り込む『ジャンプ台』として、低迷する日本経済をけん引する立場になる可能性も出てきた。この二つの理由から新たな沖振法の制定を求めたい」

 ―今後の沖縄の課題は。
 「経済の筋力や体力が非常に弱い。これまで沖縄経済は国内観光やインバウンドといった需要(市場の買い手)が引っ張ってきた。10年先を見据えた時に沖縄科学技術大学院大学(OIST)などと連携して技術進歩を促し、自らの力で発展しないといけない」

 ―新たな観光施策は。
 「環境に配慮するなど持続可能な発展でないといけない。オーバーツーリズムが指摘されているが、キャパシティー(受け入れ量)を超えると沖縄の魅力がそがれる。観光客数だけを追い求める時代は終わった」

 ―今後の沖縄はどうあるべきか。
 「エコロジーとテクノロジー、ソフトパワーをミックスするような具体策を追い求めていけば、今世界が目指す方向に行けるのではないか。沖縄だけの発展ではなくて、オールジャパンの振興につながる論理を示したい」
 (聞き手・梅田正覚)