新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として約2カ月間続いた休校。自宅待機中には子どもへの虐待やドメスティックバイオレンス(DV)など家庭内での暴力も報告されている。子どもたちが自分の身を守るための人権教育プログラムを実施する「おきなわCAPセンター」は、学校再開でようやく安全な時間と場所を得られることになる子どもたちに対して「苦しかったことを誰かに話して」と訴える。一方、大人たちには「生活に追われているだろうが、子どもたちの小さなつぶやきに耳を傾けて」と呼び掛ける。子どもと大人に向けた同センターのメッセージを紹介する。
突然やってきた長い休校。家から出られず、自由に遊べず、友達とも会えず、家の中ですることもなく、毎日ニュースはコロナ、コロナ、コロナ。こんな暗い生活がいつまで続くか分からない中、どんよりした気持ちで過ごした人はいっぱいいると思います。
「学校休み」「部活休み」って、いつもだったらうれしいことだけど、こんな強制的で自由のないお休みはきついよね。自分のことは自分で決めて行動したいのに、選ぶ自由もなく、安心感もない中、子どもたちはよく耐えました。
学校が始まることに、わくわくしている人もいれば、不安な気持ちでいっぱいの人もいるでしょう。同級生と久しぶりに会うのが心配、やる気が出ない、イライラする、体が重たい、行きたくない…。いろんな気持ちが入り交じっているかもしれません。そんな気持ちになることはおかしいことではありません。どんな気持ちも大切なあなたの気持ちです。不安な気持ちのときは、体の調子も悪くなります。心と体はつながっているから、あなたを守るためにSOSのサインを出してくれているのです。
これまでの生活での嫌だったこと、つらかったこと、どうか誰かに話してください。家の中のことって人に話しにくいかもしれないけれど「過ぎたことだから忘れてしまおう」「自分が我慢すればいいんだ」って、苦しかったことをなかったことにしないでね。
これからの生活では「休みで遅れた分、頑張れ!」「早く取り戻せ」「ぐずぐずしてたら置いていかれるよ」などせかされたり、大人に余裕がなくなってあなたを責めたりすることがあるかもしれません。でも学校が休みになったのは子どものせいではない。あなたは絶対に悪くないよ。
嫌だな、怖いな、腹が立つ、そんな気持ちを信頼できる友達、先生、近くにいる誰かに話してください。話すことで、自分の気持ちが整理できたり、すっきりしたり、解決方法がみえてきたりします。
それから、もしあなたの近くに元気のない友達や1人でぽつんとしている人がいたらちょっと声を掛けて。相手が何か話してきたら、黙って聞くだけでOKです。何にも言わないでそばにいてあげるだけでもいい。あなたたち、子どもには友達を助けたり支えたりする力がある。余裕のない親や先生がSOSに気付いてあげられなくても、子ども同士で助け合うこともできるよ。もし難しい相談をされたときは、1人で抱えずに、その友達と一緒に信頼できる大人に相談に行ってね。