平和祈念資料館、再開したけれど来館わずか 平和教育に影


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展示室で間隔を空けて閲覧する来館者ら=21日、糸満市の県平和祈念資料館

 3月中旬から断続的に臨時休館してきた県平和祈念資料館=糸満市=は21日、開館した。感染防止で密閉、密集、密接の3密を避けるため、団体予約による常設展示室の観覧などは当面停止する。昨年5月は1日平均1455人が訪れたが、21日は数えるほど。慰霊の日まで1カ月あまり。沖縄戦の継承、平和教育にも新型コロナウイルスが影を落としている。

 「2メートルは間隔を空けてください」。チケットをもぎった職員が注意を呼び掛けていた。同館は来館者にマスク着用や入り口での手指消毒の実施、他の来館者と2メートル程度の間隔を空けるよう求めている。

 母と祖母と3人で訪れた宮城優凛花さん(7)=宜野湾市=は初めて来館し「勉強したい」とはにかんだ。22日の入学式を前に、来館者が多くないと見込んで再開初日に訪れた。

 室内は3密状態を避けるため、非常扉を開放し、団体予約の観覧を停止した。平和講話などに利用される祈念ホール、大会議室も含めて31日まで利用停止する。6月以降も状況によってはこれらの措置を継続する可能性もあるという。

 団体利用が解除されても、展示室内は同時に入室できる人数の上限を設定し、来館者の密集を避けるなど対策を講じる構えだ。

 同館の大嶺拡学芸班長は来館利用のほか、学校向けの学習キットやビデオなどの貸し出し資料などを活用し、沖縄戦を知る機会を作ってほしいとし「平和はいつでも考えることができる」と語った。