県建設業協会会長に屋部土建の津波氏 「生産性上げて若者呼びたい」


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呉屋明氏

 県建設業協会は22日、書面決議による通常総会と理事会を実施し、2020年度の事業計画などを承認した。任期満了に伴う役員改選で、屋部土建社長の津波達也氏(65)が新会長に就任した。会長交代は8年ぶり。任期は2年間。

 新たな副会長に呉屋組社長の呉屋明氏(65)を選出し、新里英正氏(61)=鏡原組社長=と仲本豊氏(57)=仲本工業社長=は続投する。専務理事の源河忠雄氏(59)は再任された。

 前会長の下地米蔵大米建設会長(65)は顧問、前副会長の比嘉森廣南洋土建社長(64)は相談役に就いた。

 本年度の事業計画は「新型コロナウイルス感染症の県内拡大により、県内経済の先行きが見通せない状況となっている。県内景気回復の起爆剤として公共投資の拡大確保が必要不可欠であることを強く要請していく」として、公共工事の受注拡大や働き方改革に伴う労働環境改善などの取り組みを掲げた。新型コロナの拡大防止として、通常総会は書面決議とした。

 津波氏は1954年名護市生まれ。78年に屋部土建に入社し、2006年から現職。県建設業協会では16年から2期4年、副会長を務めた。


業界の現状や抱負、津波氏に聞く

 22日に県建設業協会の新たな会長に就任した屋部土建社長の津波達也氏(65)に、建設業界の現状や新型コロナウイルス感染症の影響などを聞いた。

「生産性を上げて、『建設業を給与が良い、休暇が取れる、希望が持てる』の新3K産業にしていく必要がある」と語る県建設業協会の津波達也新会長=22日、浦添市牧港

―新型コロナウイルスの建設業への影響は。

 「極端には落ち込んでいない。ホテルなど大型工事は元々工期も長く、まだ影響が表面化はしていない。住宅は着工件数が減っていて、工務店にとって厳しい状況だ。影響が長期化すると、民需が停滞して投資意欲が薄れてしまうのではないかと危惧している」

―建設資材の不足は生じていないか。

 「水回りの接続金具など主に中国で製造する資材で一時的に不足はあったが、国内メーカーが対応して現在は極端な不足はない」

―公共工事の現状は。

 「新型コロナが発生する前は、観光が好調で民需が旺盛だったが、公共工事の予算は近年減少傾向にあった。公共工事を切れ目なく発注してほしいと要請している。橋や道路などインフラの強靱(きょうじん)化需要は今後さらに増えてくる」

―業界の課題は。

 「高齢化が進みつつあり、担い手不足という課題がある。働き方改革も求められている。昔はきつい、汚い、危険の3Kと言われていたが『給与が良い、休暇が取れる、希望が持てる』という新3K産業にしていく必要がある」

―どう対策を講じるか。

 「生産性を上げることだ。国が掲げるICT技術導入を進め、時間当たりの効率を上げていけば休日の取得や、残業削減と給与の維持向上を両立できる。昔と比べて社会保険制度が充実していることや、キャリアアップシステムの導入など安心して働ける環境だということを、若者にアピールしていきたい」

―会長としての抱負を。

 「今年1月に突然発生した豚熱に24時間体制で対応したように、建設産業は災害時に地域の守り手となる。空白地域をつくってはいけない。誇りと希望を持てる産業にして、未来を支えていきたい」

(聞き手 沖田有吾)