【今帰仁】沖縄で唯一の在来豚といわれる「今帰仁アグー」が新型コロナウイルスの影響で出荷停止が続き、運営難に陥ったため種の保存が危ぶまれている。他のアグー豚とは異なり、アジアに起源のある在来豚の今帰仁アグーを、20年前に資源として残し種を守る活動を始めた「農業生産法人今帰仁アグー」(髙田勝代表)は、豚熱被害に続きコロナ禍のため県内外のホテルなどから取引が無くなり収入が激減している。
食卓に並ぶ改良品種豚の多くは生後6カ月で出荷できるが、今帰仁アグーは出荷まで18カ月ほどかかり、飼料も遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆等を与えず、米や県産のマグロ粉末、泡盛のモロミ酢粕などの厳選飼料を与えるため飼育コストが非常に高い。肉質は歯ごたえが良く上質な肉として多くの表彰を受け、2014年には食の世界遺産ともいわれる「味の箱舟」に登録、高い評価を受けている。
現在354頭を飼育している髙田代表は「今帰仁アグーは食べてもらうことで、種の保存が成り立ち命をつないできた。しかし、コロナの影響で行き場をなくしてしまい、餌代、維持費がかさみ危機的経営状況で、種の存続が厳しいところまで追い詰められている」と窮状を説明した。
4月には餌代を捻出するためアグー肉を緊急販売し現金化を行ったが経営改善には至っていない。
そのためネット上で寄付を募るクラウドファンディングを立ち上げ、支援を求めている。目標金額は600万円。
髙田代表は「運営だけでなく文化、生物資源であることを再認識してなんとか乗り越えたく思う。種の保存は飼育者だけではできず、利活用されて初めて維持されるので協力をお願いしたい」と訴えた。寄付は下記QRコードから。(喜納高宏通信員)