コロナ雇用調整金、支給決定わずか3割146件 添付書類忘れや相談急増で審査遅れ


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 新型コロナウイルス感染拡大で業績が悪化し、休業した際、雇用を維持した事業主に支払う雇用調整助成金への支給申請は25日現在、県内で455件に上ったが、支給決定は146件にとどまっていることが沖縄労働局への取材で分かった。相談は5427件あった。同局の担当者によると、小規模事業者からの申請が急増し、手続きが追いつかないという。

沖縄労働局の入る那覇第2地方合同庁舎

 同助成金は19日、休業計画書を廃止し、小規模事業主の申請書類を3種類に半減するなど、大幅な簡素化を実施した。担当者は手続きの簡素化以降、「小規模事業所からの申請が急増し、全体で1日50~100件単位で申請がある」と話す。賃金台帳の添付忘れや申請書類の不備も多く、審査に遅れを来しているという。

 同局で現在、30人で審査を進めているが、今後さらに人員体制を強化し、2週間内での支給を目指す。

 社会保険労務士の玉城巖氏は手続きの簡素化で申請書類の作成がしやすくなったと評価する一方、添付書類の数は変わらないとも指摘した。

 その上で添付書類の雇用契約書やタイムカード、賃金台帳などは「中小零細企業でそろえていない場合が多く、申請を断念している」と指摘する。

 玉城氏は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて大変な時期にある中でも「労務管理を徹底することで、必要な時に必要な助成金を受給するための第一歩となる」と提起した。

(比嘉璃子)