Zoomで世界から「最後の別れ」 沖縄で英国在住女性のオンライン告別式 県内の友人が営む


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」で実施されたアイリーンさんのオンライン告別式。動画はユーチューブでも公開されている(マネクル提供)

 沖縄出身で、英国在住のアイリーン・トモエ・クーパーさん(54)が4月、がんのため県内病院で亡くなった。新型コロナウイルスの影響で英国の家族や県外の知人らは来県して見送ることができなかった。友人らが今月、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を利用してオンライン告別式で別れを惜しんだ。

 アイリーンさんは日本人とアメリカ人の両親を持ち、沖縄で生まれ育った。英国人男性と結婚し、英国、東京、沖縄を行き来しながら研修やセミナーの講師などを務め、がんの体験も講演で伝えていた。2013年に乳がんと診断され、闘病生活を送っていた。

沖縄の会場とイギリスなどをビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」でつなぎ実施されたオンライン告別式。親族や友人が弔辞を読み上げ、参列者全員で黙とうした(マネクル提供)

 3月初めに仕事のため沖縄を訪れた後、体調を崩して約1カ月入院し、4月30日に亡くなった。アイリーンさんの死後、県内の友人が5月2日、豊見城市内で告別式を執り行った。英国の家族のため告別式、火葬までをインターネットで中継した。14日、オンライン告別式を改めて執り行い、夫や知人らが参加した。

 アイリーンさんの友人で、ウェブサービスを企画するマネクル(大阪府)社長の田窪洋士さんが沖縄での告別式に立ち合った後、オンライン告別式を企画した。「新型コロナで入院中の見舞いもできず、家族も来日できなかった。愛を大切にし、世界に友人を持つ彼女が独りぼっちで亡くなったのはあまりにも寂しかった」

 田窪さんもオンライン告別式を執り行ったのは初めて。「実際の葬式でご遺体や葬儀を撮影するのは非常識ではないかと葛藤したが、遺族や友人から『その場にいる感覚で見送れた』と感謝された。アイリーンさんも喜んでいると思う」と胸をなで下ろした。

 マネクルはアイリーンさんの活動を紹介し、オンラインを活用した新たな別れの形を提案する目的で、告別式の様子をユーチューブで公開している。

(大橋弘基)