台風大型化、熱帯感染症…温暖化に備え 沖縄の特殊性考慮、県が年度内に適応計画


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎

 沖縄県は地球温暖化が進行した場合に生じるさまざまな問題に備えるための「適応計画」を初めて策定する。7月にも専門家による委員会を設置し、年度内の計画策定を目指す。亜熱帯気候の沖縄で熱帯性の感染症が発生した場合の備えや、暑さに強い農作物の品種開発、台風の大型化対策などの内容を盛り込むことを検討する。

 計画策定は2018年に成立した「気候変動適応法」に基づく措置。県は地球温暖化の防止に引き続き取り組む一方、進行を食い止められない場合に生じるリスクに備える。沖縄は国内で唯一、亜熱帯気候に属する特殊な環境にあるため、海外の事例なども参考にする方針だ。

 県が策定する計画の期間は10年間。策定5年後に中間見直しをする。計画は(1)農林水産業(2)水環境・水資源(3)自然生態系(4)自然災害(5)健康―の5分野で影響を調べ、対応策を決める。策定に向け設置する委員会は大学教授らの有識者らがメンバーとなる予定。県環境部の他に知事公室や保健医療部、農林水産部など関連部局も参加し、各分野の対応を盛り込む方針だ。

 県環境再生課によると、地球温暖化が進むことで熱帯性の感染症を媒介する蚊の生息分布が拡大することなどが懸念されている。こうした熱帯性の疾病が県内で発生するリスクも検討する。サンゴの白化現象や台風の大型化などは温暖化との関連性が指摘されている。過去数十年の気候変動データを検証しつつ、その間に沖縄の環境にどういった変化があったかを調べ、今後の影響予測に活用する。これらの予測結果を防災具の常備など普及啓発にも生かしたいとしている。

 県はこれまで策定してきた「地球温暖化対策実行計画」の中に「適応策」を一部盛り込んできたが、同計画とは別に単独で適応計画を定める。「実行計画」も年度内に改訂する。(島袋良太)