創部3年目の新鋭・日本ウェルネス沖縄、夏初Vへ始動 甲子園10度経験の五十嵐監督が指導


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夏季大会優勝を目標に、汗を流す日本ウェルネスの選手たち=5月29日、浦添市内

 創部3年目にして春季大会で県大会初の4強入りを果たし、夏の大会のシード権を獲得した日本ウェルネス。県内の新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いたことを受け、5月25日から練習を再開させた。7月に開幕する県夏季大会に向け、優勝を目標に練習に励む。1カ月半ぶりとなる全体練習に選手たちは「やっと野球ができる」と自然と表情がほころぶ。創部からチームを作り上げてきた3年生は「優勝して笑顔で引退したい」と気を引き締め、練習に打ち込んでいる。

 青森山田の部長として8度、監督として2度の甲子園を経験した五十嵐康朗氏を昨夏、監督に迎え入れた。2001年には母校の日大でコーチを務め、全日本大学野球選手権準優勝に貢献した経歴を持つ。

 日本ウェルネスの監督就任から半年でチームをまとめ上げ、春の4強にまで上り詰めた。「たまたまですよ」と謙遜するが、周囲は就任後のチームの変化を実感している。寄合洋司・入試広報部長は監督の野球に対する姿勢、選手に問い掛けて考えさせる指導方針によって「選手の野球への取り組み方も大きく変わってきた」とチームの成長の要因を挙げた。

 沖縄市内の学校にグラウンドはなく、放課後はもっぱら公共施設で練習している。春季の躍進に3年の前泊奏汰主将は「自分たちの実力か、運なのか全然自信がない」と依然として実感が湧かない様子。同校進学を決めたのは創部に合わせ即戦力として公式戦に出場できると期待してのことで、ここまで強くなれるとは思ってもみなかったと飾り気なく話してくれた。

 入部当初は想像すらしていなかった初優勝を目標に、高校最後の夏の大会で結果を残し、後輩にそのバトンを託そうと基礎練習に汗を流す。

 1年時からエースを担う比屋根柊斗は、地元の八重瀬町東風平から毎日2時間かけて通学する。春季はスプリットやカーブ、スライダーを操り、3回戦で興南を被安打5、1失点で抑え、八回コールド勝ちした。夏に向けてはチェンジアップを習得中で、さらなる技の強化を図る。3年生22人が挑む最後の大会。「甲子園はなくなったが、夏の大会で優勝して笑顔で引退したい」。聖地にはつながらない。それでも特別に開かれる大会だと思いを切り替え、初戴冠を狙う。
 (上江洲真梨子)