オンライン授業、どうやった? 授業配信にマニュアル、機器は無償貸与・・・ 早期対応の大学に聞いた


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 新型コロナウイルスの影響で休業を余儀なくされた沖縄大学(盛口満学長)は、休業中にオンラインによる遠隔授業を実施した。教員もオンライン授業には慣れていなかったが、知識を持つ教員がマニュアルを作成して全体で共有し、緊急事態に対応した。通信環境が整っていない学生向けに機材を貸し出すなど、早期に支援体制を構築した。県内でいち早くオンライン授業に切り替えた同大の取り組みを振り返る。

 「大城マニュアル」
 

休業中に行われたオンライン授業について振り返る沖縄大学の嘉数凜さん(左)と新城迪可さん=2日、那覇市の同大

 3月18日、経法商学部は情報通信技術(ICT)の利活用セミナーを開き、遠隔授業に向けてICTでできることを情報提供した。県内での新規感染者ゼロが続いていたが、県外では感染が拡大傾向にあり、多くの教員はセミナーを機に遠隔授業の準備を始めた。

 県内でも新型コロナウイルス感染症の拡大が始まった3月下旬、大城淳准教授らが、遠隔授業に必要な授業動画の撮影や配信方法をまとめた資料を作成した。この資料は後に「大城マニュアル」と呼ばれ、4月2日には全教員に共有された。小野啓子副学長は「授業動画の作成は多くの教員が初めてだった。具体的な方法を記したマニュアルの存在は大きかった」と語る。

 授業開始となった4月9日はゼミの授業のみ対面で実施したが、学生の陽性が確認された。10日以降、全授業を遠隔で実施することになった。想定していない形だったが、始業前に準備を整えていたことが奏功した。

 教員間もコミュニケーションツールを活用し、助言しあって授業方法の改善に努めた。

 無償貸与
 

 マニュアル作成など教員側の準備を進めるのと並行し、大学は4月8~15日、学生のインターネット環境を調査した。その結果、学生の約30%が自宅にノート型やデスクトップ型のパソコンがなく、スマートフォンで授業動画を視聴していた。7%は自宅の通信環境に問題があった。

 経法商学科の豊川明佳学科長が学生支援のため動いた。リース会社に勤務する卒業生を通じ、リース期間を終えたノートパソコン100台を確保した。沖縄ツーリストにも協力を求め、観光客の減少で在庫となっていた無線LAN「Wi―Fi」の機器を提供してもらった。大学側は豊川教授らの人脈で確保した資機材を学生に無償で貸与した。

 これらの大学側の動きを学生はどう受け止めていたのか。管理栄養学科1年の新城迪可(みちか)さん(18)は遠隔授業の当初、スマホで授業を受けていた。パソコンと違い、スマホでは授業対応をできないことがあり困惑していたという。

 同じようにスマホで授業を受けていた同学科2年の嘉数凜さん(19)も「スマホだとLINEとかの通知が出てしまう。授業に集中できなかった」と振り返った。

 2人は大学から無償でパソコンを借り、休学中の受講に役立てた。新城さんは「無償でパソコンを借りたことで授業を受けやすくなった。大勢いる教室よりオンラインの方が質問をしやすいと感じた」と話した。
 (稲福政俊)