教員「ユーチューバーにならないと」 広域通信制高校がオンライン授業の2カ月を振り返る


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アートの授業中、カメラを通して生徒たちに声を掛ける講師の外間信太郎氏=5月28日、那覇市内の星槎国際高校・那覇キャンパス

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、約2カ月にわたって臨時休校が続いていた県内でも、1日から県立学校などで通常授業と部活動が再開された。密集、密接、密閉の3密回避に苦心する学校現場は感染防止に細心の注意を払いながら、第2波の到来に気をもむ日々が続く。広域通信制の星槎国際高校(那覇市、沖縄市)も3月から5月末まで、オンラインで学習を続けてきた。同校の取り組みを紹介する。

 5月28日午後1時すぎ、那覇市内の校舎で中国語やアート、スポーツの授業が始まった。遠隔授業にはビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を利用する。今では生徒たちもすっかり操作に慣れた様子だ。

 アートの教室には講師が1人いるだけで、パソコンの画面には生徒たちの顔が映し出されていた。生徒は郵送で受け取った教材を使い、人物画の制作に取り組んでいた。その間、教室には静かな空気が流れた。「いつもなら歩き回って声を掛けながら指導をするが…」。講師の外間信太郎さんが記者につぶやいた。

 「教室にいるときよりも集中している。でも眠いのかな、不安なことがあるのかなとか、ちょっとしたところが感じ取りにくい」

 スポーツの授業は、NHK番組「みんなで筋肉体操」を参考にしてストレッチから始まった。上運天賢洋教諭はおもんぱかる。「生徒たちの体力はかなり落ちているはず。そばで安全管理ができないので、あまり負荷をかけられない」。目の前で直接指導ができないだけでなく、授業中にネット回線が不安定になることも多い。教員らは「毎度歯がゆいね」と口をそろえた。

 外間さんは「生徒たちに楽しんで学んでもらうためは、ユーチューバーにならないと」と自らを鼓舞するように笑い、生徒の学習意欲の維持に努めている。

 上運天教諭は別の学校との連携も視野に呼び掛けた。「何をするにも手探りだ。今後も第2波などでの休校は十分考えられる。そのためにも、他の学校の取り組みも参考にしながら乗り越えたい」
 (下地陽南乃)