挑戦できる喜び「最高に楽しい人生」 ゴルフ・上原彩子<みんなにエール⑧>


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米女子ゴルフ ショットを放つ上原彩子=2月、アデレー

 女子プロゴルファー上位80人に与えられる米ツアーシード権を7年連続、日本ツアーを合わせると15年連続で獲得し、第一戦で活躍し続ける上原彩子(36)=モスフードサービス。活動自粛中に部屋をジムに改良し、強化を図るなど「できることをやって、毎日が忙しい」と日々課題と向き合っていた。現在はほぼ毎日ラウンドし、試合再開へ向けて準備している。

 小学6年生でゴルフを始めた。サッカークラブで男子に交ざり練習していたが、当時は6年になると女子は試合に出られない規定があり「目標を見失わないように」とゴルフを始めた。

 競技開始は早くなかったが、サッカーで鍛えた足腰で、1年ほどで周囲を驚かせる飛距離を出すようになった。小禄中3年で日本ジュニアとジュニア・ジャパンカップで2冠。高校1年でナショナルチームに選出された。海外を転戦する中で「世界の舞台で戦いたい」とプロを目指し始めた。

 プロ初優勝は2008年のフジサンケイレディスだ。前年大会は最終日を首位で迎えたが、終盤15番のセカンドショットをオーバーし優勝争いから脱落した。満を持して臨んだ翌08年は「勝つことしか考えていなかった」。最終日、迎えた因縁の15番。約8メートルのパターを沈めると「優勝できる」と確信したという。首位と5打差でスタートしたが、7バーディー、1ボギーと伸ばし劇的な逆転勝利を飾った。

 ゴルフ以外にもピンクリボン活動や首里城再建支援など「思い立ったらすぐにやりたい」と精力的に社会貢献活動を続ける。ゴルフの魅力を伝えるために5月にはユーチューブチャンネルも開設し、ラウンド中に考えていることなどを紹介している。「挑戦し続ける喜び、達成感が快感。最高に楽しい人生です」と言い切る。

(古川峻)

フジサンケイレディスで初優勝し、笑顔を見せる上原彩子=2008年4月27日、川奈ホテルGC富士

メッセージ

 練習や試合ができず大変だったと思うが、夢に向かって頑張ってほしい。どの競技でも大事なのは好きという気持ち。好きであれば進んで練習できるし、目標への過程を楽しめる。私は中学生の頃は休み時間はいらないから練習したかった。両親が共働きで近所の人に車でゴルフ場まで送ってもらう日もあった。ゆいまーる精神に支えられ今がある。できることで恩返ししたい。周囲には応援してくれる人がいるはずです。

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 新型コロナの影響で部活はできず、目標とする大会が中止となった子どもたちへ、県出身アスリートが自身の経験を振り返り、エールを送る。