白井・具志堅ジム閉鎖へ 比嘉ら世界王者輩出 具志堅氏「情熱持ち指導が難しい年齢になった」【コメント全文あり】


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具志堅用高氏

 ボクシングの元WBA世界ライトフライ級王者で、石垣市出身の具志堅用高氏(64)が会長を務める白井・具志堅スポーツジム(東京)が6日、7月末でジムを閉鎖すると公式ホームページで発表した。具志堅氏は「気力・体力ともにこれまでのように情熱を持って選手の指導にあたるのが難しい年齢になった」とした上で「ここが潮時と決断いたしました」と閉鎖理由を説明した。

 所属選手の移籍先は責任を持って見つけるという。6日時点で公式ホームページに掲載されている県出身選手は元東洋太平洋(OPBF)フライ級王者でWBAフライ級暫定タイトルマッチも制した江藤光喜を含め、屋嘉部悠大、伊藤大賀、山口臣馬、仲里ニンジャ早史の5人。

WBCフライ級で王座を獲得した比嘉大吾とリング上で抱き合う具志堅用高会長=2017年5月20日、有明コロシアム

 同ジムは1995年、日本人初の世界王者となった故白井義男氏と世界王座13連続防衛を果たした具志堅氏が共同で設立。

 所属選手では、2017年5月に浦添市出身の比嘉大吾がWBC世界フライ級王座を獲得。しかし18年4月、3度目の防衛戦で計量失敗によりライセンスの無期限停止処分を受けた。今年2月の復帰戦ではTKO勝ちを収めたが、ジムと比嘉の間で待遇や試合、練習に臨む体制などで折り合いがつかず、同3月に契約を解除していた。近年は比嘉の他にもジムを離れる選手が続出。2月の復帰戦で比嘉に付いた友利正トレーナーも退職したという。

■選手ら「頭が真っ白」「信じてない」

 所属選手にとっても突然の発表だった。6日に集められ、具志堅会長から直接打ち明けられたという。選手たちは「頭が真っ白」「信じていない」と受け入れがたい現実にショックを隠せないでいた。

 江藤光喜(本部町出身、北部農林高出)は「素直に受け止めていない。聞かないようにした」と納得いかず、その場で何度も継続を訴えた。

 具志堅会長は「今のところ、そういう気持ちはない」と答えたという。

 長年面倒をみてもらってきたこともあり「会長は神ですよ。ジムがなくなるなんて想像できない。(会長は継続が)絶対にないとは言わなかった」と願いを込めた。

 所属3年目の屋嘉部悠大(那覇市出身、沖水高出)は帰省中に電話で知らせを受けた。「頭が真っ白。整理ができない」と話した。目標としていた比嘉大吾がジムを辞め、友利正コーチも退職し、「これから自分が頑張ろう」と考える矢先の知らせ。移籍先は見付けるとしているが「どこに行くか見当も付かない。ボクシングを辞めるつもりはない。応援してくれる家族や友人のために沖縄にベルトを持って帰りたい」と話した。


<具志堅氏コメント全文>

 白井・具志堅スポーツジムは、これまで25年にわたり皆様のご厚情をたまわり営業を続けて参りましたが、来る7月31日をもちまして閉館することになりました。

 私、具志堅用高は、気力・体力ともにこれまでのように情熱を持って選手の指導にあたるには難しい年齢になったこともあり、ここが潮時と決断いたしました。

 所属選手につきましては、最後まで責任をもって移籍先を見つけます。

 移籍選手へのご声援を今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 今後は私にできることがありましたら、別の形でボクシング界に携わらせていただければと思っております。

 皆様からお寄せいただきましたご厚誼に心から感謝いたします。本当にありがとうございました。 敬具

令和2年6月6日
白井・具志堅スポーツジム
会長 具志堅用高