県議選投票率最低 コロナで投票意欲喚起できず 運動手法、候補者に課題


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 第13回県議会議員選挙の投票率は新型コロナウイルス感染症の影響が直撃し、過去最低の46・96%となった。感染症予防で「3密」を避けるため、選挙期間中、各候補者や陣営は有権者に接し投票を呼び掛ける従来の選挙運動が展開できず、投票意欲を喚起できなかったとみられる。

 投票所の密集を避けるため、県選挙管理委員会が期日前投票の積極的な利用を呼び掛けたこともあり、期日前投票者数は過去最多だったが、投票当日の雨天も開票所への足を鈍くした。

 4選挙区で無投票だったほか、コロナの影響を考慮して公明が激戦区の浦添市と那覇市・南部離島区で2人の出馬を断念し、選挙前から与党有利の構図が出来上がったことも全体として盛り上がりに欠ける一因となった。

 ただ、投票率は政治への関心、信用度でもある。コロナ禍で生活や経済への不安が広がる中でより政治の役割や責務は重みを増す。 選挙活動が難しかったとはいえ、立候補者や各政党は投票率の低下を重く受け止め、信頼回復を図る取り組みがより一層求められる。
 (謝花史哲)

《識者談話》照屋寛之沖国大教授 民主政治の危機

照屋 寛之沖国大教授

 民主政治は有権者の投票によって成り立つ。投票行動がデモクラシーの原点であり、政治家は有権者に選ばれることで正当性が与えられる。新型コロナウイルス感染症の影響があったとはいえ、デモクラシーの危機と言っても言い過ぎではない。新型コロナ禍の特殊な状況だが投票率が過去最低になったことは問題だ。

 新型コロナの影響がなかったとしても、県議選の投票率は低下傾向にあった。根底には政治不信などの要因があるだろう。しかし、今回は先行きを不安視し「選挙どころではない」と、投票に行かない人が増えたと思われる。投票日当日の悪天候も影響を与えた。

 新型コロナは、握手を控えるなど選挙運動にも影響を与えた。一方、SNSなどを積極的に活用する候補者もいた。投票率が低迷する中、若年層などを引き付ける方法の一つになる。
 (政治学)