新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、3~5月の受診控えによる患者の減少や医療資材の経費が増大した多くの医療機関や介護事業所で経営が厳しくなっている。沖縄県民主医療機関連合会(沖縄民医連)は9日、県に対し、全ての医療機関・介護事業所の前年実績比減収分を補填(ほてん)するよう政府に要請することや独自の支援策を求めた。
県の宮城優医療政策課長は、国の方針に沿って指定医療機関と協力医療機関への交付金の上乗せのため、5月に15億円の補正予算を組み、6月補正でも追加支援を検討していると説明。一方で全ての医療機関などに対する減収分の補填には慎重な姿勢を示した。
今回の要請に向け、沖縄民医連は、今月5日から9日、県内の医療機関と介護事業所から計206の署名を集めた。
医療機関や介護事業所からは「つぶれる前に資金援助を」「第2、第3の流行が予測されるが、そのころまで病院が持ちこたえられるよう支援してほしい」「このままでは医療崩壊が起きる」といった切実な声が数多く寄せられた。
9日の記者会見で沖縄民医連の名嘉共道事務局長は「政府が示した第2次補正予算は医療機関への支援が不足している。第2、第3波に備えるために、10兆円を超える予備費を活用し、医療機関への財政支援をお願いしたい」と話した。
髙﨑大史事務局次長は「全ての医療機関への財政支援がなければ地域医療の機能を維持できない」と訴えた。
会見に同席した社会福祉法人沖縄にじの会の特別養護老人ホーム「ゆがふ苑」の玉城好史施設長は「家族の仕事が失われ、利用料の支払いが困難になっている人もいる」とし、利用者の負担にならない形での支援を求めた。