7日午後10時過ぎ、「当確」の一報が開票所から伝えられると、沖縄市区から立候補した現職・花城大輔氏の事務所はどっと沸いた。同市区では、新人の小渡良太郎氏も当選し自民公認候補が2人当選するのは20年ぶりとなった。同市区で与野党勢力が逆転し、野党全体の議席増につながった。
自民党は今県議選で野党・中立勢力の「過半数獲得」を目標に掲げ、経済界と両輪で激しい選挙運動を展開。県内最大手の建設会社・国場組の国場幸一会長や仲井真弘多元知事らが経済界の旗振り役となり、野党系無所属候補などを全面的に支援して、うねりをつくりだした。
しかし、盤石に見えた自民県連執行部と経済界の連携だが、選挙期間中に一部で自民の「誤算」があった。とりわけ国頭郡区の現職・具志堅透県連政調会長の落選は想定外だった。
「次の県知事選にも関わる。候補者の選挙ではなく、自民党の選挙だ」
5月下旬、名護市内に集められた北部経済界の有力企業トップを前に、自民県連幹部がこう強調した。出席していたのは仲井真弘多最高顧問と翁長政俊顧問ら。県連幹部らは国頭郡区で出馬した具志堅氏へ支援を求め、候補者一本化を指示した。出席者の一人は「圧力がかかった」と受け止めた。
具志堅氏の地域への貢献に疑問を持つ企業関係者も多く、選挙前には具志堅氏から地元・本部町の有力者が次々に離れていった。
県連幹部らはこうした地元の情報をキャッチ。当初は、推薦した新人・仲里全孝氏への支援も視野に入れる「両てんびん」の状況が続いたが、方針を転換した。
関係者によると、自民が実施した5月の世論調査で、同郡区に立候補した4人のうち定数2の上位は与党系候補だった。「このままでは与党に2議席取られる」。県連は仲里氏より数字が高かった具志堅氏への一本化へかじを切った。
選挙戦の最終盤、経済界の後ろ盾を得た具志堅氏が仲里氏を大きく上回り、与党系2氏との「三つどもえ」だとの認識が県連内を包んでいた。だが、結果は仲里氏が当選を果たし、具志堅氏は最下位だった。
結果的に県連は、自民党自身の世論調査の数字に左右され、最後まで当落を読み違えた。
投開票日の7日夜遅く、選挙戦終盤は抜け出したという自信を見せていた具志堅氏は「いろいろな情報に左右された」と戸惑いを隠さなかった。 (’20県議選取材班)