安倍内閣の国会召集「放置」訴訟 那覇地裁が野党議員側の請求棄却 憲法53条初判断


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「不当判決」の垂れ幕を掲げる原告側弁護士。左端は糸数慶子・前参院議員=10日午後2時すぎ、那覇地裁前

 2017年6月に森友、加計学園問題の疑惑解明を求め、野党が要求した臨時国会の召集を安倍内閣が3カ月以上放置したのは憲法53条違反だとして、県選出国会議員4人が国を相手に損害賠償計4万円を求めた訴訟で、那覇地裁(山口和宏裁判長)は10日、原告の請求を棄却した。

 憲法53条の解釈について司法が憲法判断を下すのは初めてのケースだった。法的な召集義務については認めたが、安倍内閣が臨時国会を3カ月以上召集しなかった点についての違法性に踏み込むことはなかった。

 憲法53条は、議院の総議員の四分の一以上から臨時国会の召集要求があれば「内閣は、その召集を決定しなければならない」と定める。

 17年6月、原告の赤嶺政賢、照屋寛徳、伊波洋一、糸数慶子ら4分の1以上の国会議員が森友、加計学園問題の疑惑解明を求めて臨時国会の召集を要求したが、安倍内閣は3カ月以上も放置。98日が経過した同年9月28日に国会を召集したが、冒頭解散し、議論のないまま閉会した。

 裁判では、原告側が臨時国会を召集する「合理的期間」を先例や憲法学者の見解などから「20日以内」と算定。「召集要求から98日目になるまで召集決定を怠ったのは違法だ」と主張していた。

 これに対し、臨時国会の召集決定が「高度に政治性を有する行為」のために「司法審査権は及ばない」と主張していた。

 岡山、東京の両地裁でも地元選出の国会議員による同様の訴訟が提起されており、今回の判決が与える影響が注目される。【琉球新報電子版】