坂本龍一さん「辺野古は無駄、ただのアリバイ」「非民主主義に抗議せぬ国民」本紙インタビュー


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琉球新報のオンラインインタビューに、ニューヨークの自宅で応じる坂本龍一さん=5月29日

 世界的な音楽家の坂本龍一さんが9日までに、拠点とする米ニューヨークから琉球新報のオンライン・インタビューに応じ、名護市辺野古の新基地建設や新型コロナウイルス感染拡大の危機に直面する世界について語った。米軍基地などの安全保障は沖縄、原子力発電所などエネルギー供給源としての負担は福島など、限られた地域に集中しているとして「日本の民主主義は非常に特殊で、ねじれていると感じる。政府上層部が反民主主義的で、独裁的だ」「非民主主義的な政権に国民の多くがおかしいと抗議しない。民主主義が定着していないからだ」と指摘した。 

 本紙の松元剛編集局長の質問に答えた。

 コロナ禍のさなか、日本政府が4月、軟弱地盤に伴う新基地建設工法の設計変更を県に申請したことに「辺野古の基地は常識的に考えると完成しない。仮に完成しても使い物にならないのでは。やっていますというただのアリバイだろう。貴重な税金を無駄につぎ込むのか。コロナ禍対策でもお金の使い方が違う」と疑問を投げ掛けた。

 新型コロナを巡る安倍政権の対応について、民主主義を軽んじる体質が弊害となって表れていると言及した。世界各国と比較し、日本のコロナ対策における決定過程の不透明さ、公金支出の在り方も問題視した。

 行き過ぎとも言える地球規模の都市化が、新型コロナの世界的な流行をもたらしたと読み説き、「今や地球規模の都市化によって自然破壊が進んでいる。自然と共生する経済活動、人間活動に変えなければ、同じことが次々に起きる」と警鐘を鳴らした。

 コロナ禍の後の世界(アフターコロナ)を見据え、都市型の生活様式を変える必要性を強調し、「都市デザインのバージョンアップを進めた方がいい。都市のデザインを直すことは巨大な公共事業にもなる。経済が落ち込んだ今、無駄な基地を造るより、はるかに大切だ」と提案した。

 1月に宜野湾市で開かれたコンサートで、坂本さんは沖縄で初めてピアノを演奏した。来県に伴い、坂本さんは辺野古の海を視察した。 (社会部長・島袋貞治)

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