休業手当の未払い非正規雇用で多く 相談応じる連合沖縄「雇い主明確に」


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 新型コロナウイルス感染症拡大による雇用情勢の悪化により、連合沖縄には10日までに、「手当が支給されない」など休業手当に関する相談が17件寄せられた。配膳会社の紹介で本島北部のホテルで働く従業員からは休業手当の支給対象になるかとの問い合わせもあるという。相談事例を雇用形態別で見ると、正規が4人に対し、非正規は11人と、非正規で休業手当が未払いになっている傾向がある。

 相談があったホテル従業員は雇用契約書がなく、誰が雇い主か不明という。給与明細書や源泉徴収票はホテルが作成していることから、連合沖縄はホテルと雇用契約を結んでいるのではとみている。従業員は常勤で4月半ばまで勤務していたが自宅待機を強いられ、ホテルは5月に休業。4月以降の休業手当が未払いになっている。社会保険や雇用保険には未加入で、自己負担で国民健康保険料を納めている。ホテルは今月再開の見込みだが、正社員だけが復帰しているという。

 社会保険労務士の玉城巖氏は「雇用契約は口頭でも成立するが、裁判時に客観的な証明にならない」と、契約書の重要性を訴えた。書面上で雇用契約を結んだ場合でも、その控えを事業主が保有している事例もある。連合沖縄の砂川安弘事務局長は「自分がどこと雇用契約を結んでいるか、分からない労働者が多数いるのでは」と懸念している。

 厚生労働省監督課は事業主の都合で休業した場合、「雇用形態を問わず、休業手当を支払う義務がある」と指摘した。雇用契約書や勤務予定日だったことが確認できるシフト表がない場合でも「契約時に事業主と口頭で交わした合意内容や過去の勤務実績に基づき、勤務日数や支払われた給与が分かれば、休業手当を請求できるか、判断要素の一つになる」と説明した。