野党議員による臨時国会の召集要求に3カ月以上応じなかった、安倍内閣の政治判断の違憲性が争われた裁判では「内閣による臨時国会の召集決定に、裁判所の司法審査権が及ぶか」が争われた。那覇地裁は判決で、臨時国会の召集について「司法審査の対象外であるということはできない」と判断。内閣に「憲法上の義務がある」とし、臨時国会の召集の可否について「内閣に認められる裁量の余地は極めて乏しい」とまで踏み込んだ。
被告の国側は臨時国会の召集決定が「高度に政治性を有する行為」のために「司法審査権は及ばない」と主張し、原告の請求を門前払いするよう求めた。
判決で国側の主張は一部退けられた形で、原告団からは「もう少し踏み込めば憲法違反だと判断する裁判官も出てくる」との指摘も上がる。岡山、東京地裁で提起されている残り2件の同種裁判に希望を残す判決ともいえる。
一方で、安倍内閣が臨時国会の召集要求に応じなかったことが違憲だったかどうかについて、那覇地裁は判断を避けた。原告の国会議員は安倍内閣による臨時国会不召集による「損害」への賠償を求めて争ったが、同地裁は国家賠償法で国に請求し得る損害については認めなかった。
(安里洋輔)