街路樹としてよく見られるアカギの葉が枯れる現象が沖縄本島内で広がっている。県森林資源研究センターや農林水産省那覇防疫事務所の調べによると、原因は東南アジアなどに生息するヨコバイ科コロアナ属の一種の虫。国内でヨコバイ科の虫は他に確認されているが、この種は未確認で侵入経路も不明。この種に使用できる農薬も登録されておらず、県によると現段階で有効な対策はない。昨年夏に葉枯れが確認されて以降、このヨコバイが越冬しており、定着している可能性が高い。他の樹種や農作物への被害は確認されていない。
県森林資源研究センターによると、昨年6月に那覇市のモノレール小禄駅近くのアカギが枯れ、虫の排せつ物で車が汚れているとの通報を県南部土木事務所が確認した。過去にアカギにこうした症状は確認されておらず、同センターが那覇防疫事務所に採取した虫の同定を依頼した。同防疫事務所や九州大学が調べたところ、この虫はインドネシアなどに生息するヨコバイ科コロアナ属の一種だと分かったが、種の特定には至っていない。この虫が葉から液を吸い、葉が枯れているとみられている。
森林資源研究センターによると、アカギの被害は那覇市や名護市など広範囲で確認されている。離島での確認はない。木自体が枯れた事例はないが、新たに生えた芽も再び被害に遭って枯れる可能性が高い。中には天然記念物に指定されているアカギもあり、県は有効な対策を検討する。
県環境再生課によると、(1)対象の害虫(2)樹種(3)農薬の種類―が確定していなければ、農薬の使用が農薬取締法で禁止されている。今回確認されたヨコバイは種が特定されておらず、現段階で有効な農薬がない。