ワンピもチュニックも「かりゆし」で メーカー狙うは「女性」「カジュアル」


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
MAJUNのかりゆしウエアのワンピース。同じ柄の子ども用も展開している

 沖縄の夏のビジネスウエアとして定着しているかりゆしウエア。年間40万枚以上が製造され、安定的な需要があり、知名度も全国区だが、それゆえに「イメージの固定化」というジレンマも抱える。県衣類縫製品工業組合(大城直也理事長)は「製造数は伸び悩んでいる。ビジネスウエアだけでない魅力をアピールしていきたい」としている。各社が狙う新たな市場は「女性」「カジュアル」だ。

 県によると2019年のかりゆしウエアの製造枚数は前年から3万9242枚減少し、42万7266枚だった。ピークの14年の49万3035枚と比較すると、6万5千枚の減少だが、13年以降7年連続で40万枚以上の製造が続く。

 大城理事長は「男性のビジネスウエアとしてここまで成長した。今後もここが主力であることは変わらないが、イメージが強すぎて、女性やカジュアルシーンでの着用に結びついていない。既成概念をどんどん壊していかないといけない」と指摘する。

 観光客に人気のマンゴハウス(那覇市)で近年増えているのが、リゾートウエディングの招待客の需要だ。企画デザイナーの高良秋野さんは「新郎新婦が新郎側はこの柄、新婦側はこの柄と決めて、引き出物としてプレゼントする例も多い」と話す。最近は県民がリゾートウエディングをする機会も増えていて、参列者がおそろいで購入することもある。そこでオフィス以外でのかりゆしの着こなしを知る例も多い。

 女性向けに特に力を入れているのがMAJUNブランドを展開する日進商会(糸満市)。シャツだけでなく、ワンピース、チュニック、ブラウスと種類は豊富だ。かりゆしウエアの定義は(1)沖縄県産(2)沖縄らしいデザイン―の2点。那覇営業所の新垣益子店長は「生地や形の条件がないので、自由度が高い。まだまだ可能性はある」と語る。

 しかしワンピースなどカジュアルな商品を購入するのは県外の人が多く、県内の女性はかっちりとしたシャツを購入する人がほとんど。新垣店長は「県内の方はかりゆしウエア=シャツというイメージが強い。女性のオフィスカジュアルとしてのかりゆしをもっとアピールしたい」と話す。

 女性向けは毎年はやりのデザインが変わることや、多くの種類を作るための工場の生産力、女性の方が価格に敏感なため価格設定が難しいなど「越えるべき壁は高い」と大城理事長は指摘する。それでも「イメージを変えることから生まれる可能性がある。新しい沖縄を見せていきたい」と意気込んでいる。
 (玉城江梨子)