県工事の不調・不落が23% 全国平均の2倍 人手不足が要因


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 県土木建築部が2019年度に発注した公共工事のうち、不調・不落が23%、離島では38%と全国平均をそれぞれ2、3倍以上、上回ったことが14日までに分かった。開札をしても入札者がいない状態を不調、入札価格が予定価格を上回り落札者がいない場合を不落という。全国平均が10%前後で推移しているのに対して、県内の不調・不落率は年々、右肩上がりで伸びている。県建設業協会の源河忠雄専務理事は人手不足で採算が合わず、不調・不落の増加につながっていると分析した。

 19年度発注の602件のうち138件は不調・不落で、66件は応札がなかった。離島では191件の発注に対し73件が不調・不落で、37件で応札がなかった。県によると、離島や小規模工事で不調・不落が多い。

 源河氏によると、受注は予算や工事の難易度を考慮して決まるという。人手不足で賃金が高騰する中、「予算の調整が必要なほか、工事の難易度に見合った技術者や労働者を集めるのが難しい」と説明した。

 また離島では「人材も資材も島外から移入するため、採算性が合わない」という。さらに近年はホテル建設が進み、「予算が調整しやすく、採算性の見合う民間工事での受注が増えている」と分析した。

 一方、同協会は新型コロナウイルスによる不景気で民間需要の冷え込みを懸念し、県に公共事業の切れ目ない発注と予算の増額確保を求めた。

 土木総務課によると、18年度から新年度の発注を年明けに開始し、発注時期の平準化に努めているという。

 土木建築部は20年度公共事業執行計画で示された予算総額706億円のうち、73%に当たる516億円の上半期執行を目指す。担当者は例年通り「事業内容を踏まえ、できる工事をできる限り早く執行する」と説明した。

 現在、新型コロナウイルス感染症による公共工事の工期や請負金額の変更はないが、県は国に準じて変更へ柔軟に応じる方針だ。

 源河氏は「インフラ整備を進めておくことで、新型コロナウイルス感染症の収束後にホテルなどの投資が再開し、民間工事の呼び水になる」と提言した。