県議会で主導権?会派おきなわの「与党強調」と火種の底流


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
 沖縄県議会

 水面下で進められてきた県議会会派の構成が決まった。社民と社大の県議らでつくる「沖縄平和ネットワーク」が与党最大会派となったことで、次期議長は同会派から選出される見通しとなった。会派内からは4期目の崎山嗣幸氏と5期目の比嘉京子氏を推す声があり、一本化に向けた調整が今後本格化する。一方、会派結成を巡る与党内の攻防であつれきが生じており、新生与党は改選早々、波乱含みとなっている。

 今回の会派構成で鍵を握った「おきなわ」は赤嶺昇氏を新たに会派代表にすることを決めた。所属議員は8人から3人に減ったものの、与党と「非与党」勢力が伯仲する中、今後、さまざまな場面で主導権を握る可能性もある。おきなわを抜けた瑞慶覧功氏が山内末子氏と共に立ち上げた「てぃーだネット」には新人議員5人が加入した。同会派を巡っては、「知事の後援会幹部がおきなわの新垣光栄氏をてぃーだに取り込もうとしていた」(赤嶺氏)との不満が表面化しており、会派間の対立の火種がくすぶっている。

 議長選出に向け、共産とてぃーだは平和ネットが選出した議長候補を支持することを確認しており、崎山氏と比嘉氏の人選調整については静観する構え。おきなわは県議選の総括を優先すべきとの立場だ。

 会派結成を巡っては、野党や中立会派でもさまざまな綱引きが水面下であった。

 県議選の候補者を4人から2人に絞った公明は県議選後すぐに無所属の呉屋宏氏と仲里全孝氏に会派入りを打診していた。2氏はいずれも自民会派入りを決めていたため公明会派入りを断った。会派入りを打診したことについて公明県本幹部は「呉屋氏と仲里氏の当選は公明の力が大きい」と力説した。

 旧維新系の「無所属の会」も勢力拡大を目的に赤嶺昇氏らとの統一会派を模索していた。しかし、おきなわ側は与党、無所属の会は中立という立場の違いもあり統一会派は実現しなかった。赤嶺氏は統一会派について「我々は与党だ。会派を組むわけがない」と強調した。
 (吉田健一)