「クラブ・クイーン」看板バンド コロナで困窮…母国へ戻れず


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
(左から)ボーカル・ギター担当ダーウィン、ボーカル担当ローレン、リーダーでギター担当アレックス=6月9日、沖縄市のコザ・ゲート通り

 【沖縄】新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う営業自粛を経て5月末に再稼働したコザ・ゲート通りの「CLUB QUEEN(クラブ・クイーン)」。ロックの日の6月9日、例年なら盛り上がる日だが、今年はイベントもせず、ひっそりとライブ演奏が行われた。

 同店は4月12日から5月28日の間休業した。イギリスのロックバンド「クイーン」の楽曲を演奏する看板バンド「Pryzm(プリズム)」のフィリピン人メンバー、リーダーでギター担当アレックス(64)、ボーカル・ギター担当ダーウィン(53)、ドラム担当ボーイ(65)、ベース担当ミロ(51)、キーボード担当ジェームス(41)、ボーカル担当ローレン(36)の6人は、母国へ戻ることもできず宿泊先にとどまり、困窮状態に追い込まれた。

 経営者の豊里満さん(64)は「バンドのおかげで商売ができるので、休業期間中の給料も補償した」と話した。給料だけでは家族への仕送りが厳しいため、バンドメンバーから特別定額給付金を前倒しで立て替えてもらえないかと相談を受けた。豊里さんは姉妹店舗「ムーンライト」のメンバー6人分を合わせた計12人分120万円を立て替えて支給した。

 ボーカルのローレンさんは「8月に子どもが生まれるのですぐにでも帰りたいが、豊里さんにお金を立て替えてもらい仕送りができてありがたい」と話した。

 以前の週末は150人ほどが来店しにぎわっていたが、この日はロックの日にもかかわらず20人のみ。豊里さんは「経営状況は非常に厳しい。持続化給付金も申請しているがいまだ給付に至らない。十分な換気や消毒、来客が多くなれば入場制限も行う。安心して来店してほしい」と来店を呼び掛けた。
  (喜納高宏通信員)