沖縄県、コロナ議事録作成せず 対策本部会議 知事、基準策定へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
沖縄県庁

 新型コロナウイルス感染症について、非公表で開催している沖縄県の対策本部(本部長・玉城デニー知事)や、医師らでつくる専門家会議で、詳細な議事録を作成していないことが17日までに分かった。県が策定した新型コロナ対策の行動計画では対策本部に関する記録の作成・公表を義務付けているが、県は発言者が特定されない形の議事概要のみを作成し、HPで公表している。だが他の自治体では発言者が分かる形で議事録を公表しているケースもある。

 識者は「今後の検証のためにも議事概要では不十分だ。より良い政策のためにも議事録が必要だ」と指摘した。一方、玉城知事は同日の会見で、議事録作成の基準を策定する考えを示した。

 対策本部は知事ら県三役や政策調整監、各部長で構成する。新型コロナ対策に関する政策を決める県の意思決定機関だ。これまで専門家会議の提言を受けて渡航自粛要請や休校などの重要施策を対策本部で決定してきた。

 新型コロナ対策を担う県総括情報部の担当者は、対策本部の議事録について「会議では政策決定前の案も出てくる。記録を作って公文書として残すことはあまりない」などと述べ、政策決定前のプロセスを記録する公文書は普段から作成していないとした。

 また同部は1日、本紙取材に専門家会議の議事録は作成していると述べていた。だが17日には一転して「『議事録』『議事概要』の捉え方は人によって違う。一言一句を起こしたものはない」と述べた。

 一方、北海道や愛媛県は対策本部の議事録を作成し公表している。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「行動計画では議事録とは明記されていないが、当然作成するべきだ」と話した。

 玉城知事は「公文書の管理と情報提供については今後しっかりと精査して、必要な範囲で規定を決めていきたい」と述べた。