糸満ハーレーは中止だけれど…「鉦打ち」夜明けの漁師町に響く 海の安全とコロナ収束願う


この記事を書いた人 Avatar photo 嶋野 雅明
航海安全や新型コロナウイルス感染症の収束を願い、鉦を打ち鳴らすハーレー行事委員会の東恩納博委員長。今年の糸満ハーレーは中止が決定している=18日午前5時ごろ、糸満市糸満の山巓毛

 【糸満】糸満ハーレーの季節到来を告げる鉦(かね)打ちが18日午前5時ごろ、糸満市糸満の山巓毛(さんてぃんもう)で行われた。夜が明け始め空が白んできたころ、集まった約10人の市民らに見守られる中、漁師の航海安全や新型コロナウイルス感染症の収束を祈り、「カーン」という力強い鉦の音が市内に鳴り響いた。

 本来鉦打ちは、糸満ハーレーが開かれる旧暦5月4日(ユッカヌヒー、今年は6月24日)を前に打ち鳴らされる。今年の糸満ハーレーは、新型コロナウイルス感染症の影響で戦後初めて中止することが決定している。「せめて鉦打ちだけは、コロナ収束の祈りも込めて実施しよう」とのハーレー行事委員会(東恩納博委員長)の強い思いから、今回の鉦打ちは実施された。

 鉦は糸満ハーレー行事委員会の東恩納委員長が打った。今年は西村、中村、新島の3村のうち、緑色の中村のハーレーギン(衣装)を身にまとった。東恩納委員長は集まった市民らに対して「海の恵みに深く感謝し、航海安全、家内安全、そして新型コロナウイルス感染症の一日も早い収束を願う」と話し、静かに呼吸を整えると、東西南北、それぞれに5回ずつ、力を込めて鉦を打ち鳴らした。

 鉦打ちの後、東恩納委員長は空手の三戦(サンチン)も奉納した。市民も引き続き見守り、東恩納委員長の呼吸とすり足の音が響いた。【琉球新報社電子版】