性的少数者「心の不調」高い割合 周囲の言動に苦悩 厚労省の職場実態調査


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 厚労省による初の職場のLGBTなど性的少数者実態調査では、当事者が精神的に厳しい状況に置かれ、生きづらさを抱えていることも浮き彫りになった。
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 性的少数者はうつ病など精神疾患を発症する可能性があり、医療機関への受診が必要な人の割合もそうではない人と比べ高かった。

 調査では、心理的ストレスを含む何らかの精神的な問題の程度を表す「K6」という指標を用いた。評点が5点以上で何らかのうつ・不安の問題がある可能性があり、10点以上でうつ・不安障害が疑われ、13点以上で重度のうつや不安障害が疑われるとされている。15点以上では2人に1人の確率でうつ病性障害または不安障害と考えられるというデータもある。

 15点以上の割合は、異性愛者の6・4%に対し、レズビアンで8・6%、ゲイで4・4%、バイセクシュアルで10・1%、トランスジェンダーで11・9%だった。10~14点の割合も、異性愛者と比べ性的少数者が高く、ストレスや不安、うつなど「心の不調」を抱えている実態がある。

 自由回答には苦悩する声がつづられている。「結婚しないことを根堀り葉堀り聞かれる。風俗店に連れて行かれた」「いまだ男尊女卑の考えを持つ人が多い。さりげない日常会話で傷つく」「恋愛の話になると付いていけず、気まずい思いをしたり仲良くなれない」「男性のスーツを着て仕事をするのがつらい」などがあった。 (問山栄恵)

<用語>LGBT

 同性愛のレズビアンとゲイ、両性愛のバイセクシュアル、生まれつきの性別に違和感を持つトランスジェンダー(性同一性障がいを含む)の頭文字を取った性的少数者を指す言葉。2015年に電通が約7万人を対象に実施した調査では7・6%が該当するとの結果が出た。LGBTにあてはまらない人も含めて、好きになる相手の性別への指向(Sexual Orientation)と、自分の性別に関する認識(Gender Identity)の略称として「SOGI(ソジ)」という言葉を使うこともある。