残虐行為も軍隊内暴力も…中国での沖縄出身兵100人の証言 「南京・沖縄を結ぶ会」沖本さんが冊子に


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市町村史に掲載された県民の中国での戦争体験記を考察して冊子にまとめた沖本裕司さん=21日午後、八重瀬町

 沖縄や東アジアの歴史などを考える「南京・沖縄をむすぶ会」事務局長の沖本裕司さん(73)=八重瀬町=が、県内の市町村史に掲載される沖縄出身兵100人の、中国での戦争体験を一つの冊子にまとめた。沖本さんは証言について「沖縄の人たちの戦争体験は生い立ちから書かれており、沖縄の歴史パノラマだ。日本軍の残虐行為などもありのままに書いている」と重要視する。

 沖本さんは県史や市町村史に掲載されている100人の証言を抜粋した。これらの証言を「対中国戦争への県内からの動員」「野放しにされた軍隊内暴力」など項目ごとにまとめて、理解しやすくした。冊子には、中国の漢口に到着した独立歩兵第106大隊歩兵砲中隊の慰安会で、空手を披露した沖縄出身者が「十数人に袋だたきにされたのだと聞かされた」などの証言を盛り込んだ。

 南京・沖縄をむすぶ会は昨年10月、南京で日本語通訳ガイドとして活動した戴国偉さんを沖縄に招待し、講演会などを開いたことがきっかけで設立した。共同代表の稲垣絹代さんが数年前に南京を訪れて戴さんの話を聞いたことで、つながりができた。同会は今後も勉強会などを通じて、南京事件や沖縄戦について理解することを目指す。

 冊子は23日から発売する。価格は千円。問い合わせは沖本さん(電話)090(1948)6673。