【東京】米下院軍事委員会の小委員会が国防権限法案に関して辺野古新基地建設への懸念を明記したことについて、米議会に働き掛けてきたシンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」の猿田佐世代表は29日、オンラインでのイベントで、明記された報告書は7月1日に軍事委で取りまとめられ「形を変えず通りそうだと聞いている。そうすれば確定するだろう」との見通しを示した。確定すれば、委員会が米国防長官に対し、12月1日までに辺野古新基地建設の軟弱地盤や地震への懸念に対する報告書を求めることになる。
猿田氏によると、辺野古への懸念の言及は、法案自体の条文ではなく小委員会の報告書。条文は上下両院議員で協議されるが、報告書は委員会で可決されれば委員会報告としてそのまま確定する公算が大きく、猿田氏は「9割の確率で(7月)1日に確定すると思う」と観測を述べた。
米議会の法案審議を巡っては、2019年に上院の国防権限法案の条文自体に「米軍再編の再検証」を国防長官に求めることなどが盛り込まれたが、下院案に項目はなく、両院協議の結果、最終案からは削除された。
この日の会見に同席したプログレッシブ議員連盟の石橋通宏幹事長(立民・参院議員)は、米議会の辺野古への懸念について「一つは法律の条文の中に盛り込んでいくよう働き掛けていきたい。第2段階としては、報告書に残れば、国防総省に対し、報告書を尊重して議会からの請求通り報告させるよう求めていきたい」と述べ、日本の議員として米議員への働き掛けを強化する姿勢を強調した。