球児「待望の夏」4日開幕 粒ぞろい投手、有望株、有力校は


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組み合わせ抽選に臨む各校の監督や部長ら=6月23日、沖縄市の県立総合教育センター

 全国高校野球選手権沖縄大会に代わる独自の「2020県高校野球夏季大会」(県高野連主催)が4日、いよいよ開幕する。甲子園への道は絶たれたが、高校球児の待望の夏がやってきた。新型コロナウイルスの影響で一時は活動ができない期間もあったが、大会開催を信じ球児たちはトレーニングに励んできた。準決勝以降打ち切りとなった春季大会から約3カ月。春よりさらに成長した期待の選手や有力校などを探った。

■粒ぞろいの投手陣

 春季大会で同校初の4強入りを果たした新進、日本ウェルネスのエース・比屋根柊斗が夏季大会でも台風の目となるか。今大会でも同じブロックに入る興南と、春は3回戦で当たり8回5安打、与四死球2の1失点と好投した。制球力と緩急を付けた配球で防御率1・58を誇る。チームには防御率0・84の渡慶次憲一郎もおり、投手陣の成長にも注目だ。

 昨年の甲子園のマウンドに立った沖尚のエース・永山蒼は、全国との豊富な対戦経験から粘投が持ち味。後半の制球力が課題で、大会ではどのような成長を見せてくれるか期待される。

 沖縄水産は石川愛斗と古波藏悠悟の二枚看板で迎え撃つ。伸びのある直球に変化球を織り交ぜて打者を翻弄(ほんろう)。互いに切磋琢磨(せっさたくま)し腕を磨いてきた。制球力、切れ、スピードどれを取っても好調で起用方法にも注目だ。

 2年でエースを背負う興南の山城京平や、春は防御率0・61で打者を抑え込んだ美里工の與古田美月、高校生離れした長身から繰り出す重い直球が武器の仲宗根アレキサンダー海吏(北山)、打たせて取る投球で春季大会に完投した新屋来樹(知念)など、粒ぞろいの投手陣に今大会も目が離せない。

■短期決戦の攻撃

 春季大会は、強打や小技を絡めた得点で勝ち上がったチームが4強を占めた。4割1分9厘と4強の中で最も高いチーム打率を誇った宮古に、4割7厘の日本ウェルネス。打率3割3分1厘の中部商は犠打や盗塁13と緻密な戦略で得点した。2割9分8厘の沖縄工は、上位打線が確実に得点を重ねて勝ち上がってきた。

 一方、8強の中でも打率3割2分6厘の美里工に、3割1分7厘の北山など4強に肉薄したチームもあり、好機に打線がつながったかが勝敗を左右した。

 自粛期間中は各選手とも素振りや筋力トレーニングで基礎体力を鍛え上げてきた印象だ。対外試合解禁から約2週間という短期間でいかにミート力や長打力、つながる打線を意識し練習、試合に励めたかが勝利への鍵を握りそうだ。

 甲子園の中止決定から1カ月余り、各選手がやり場のない気持ちにとらわれながらも大会開催に一筋の希望を持ち汗を流し続けてきた。そうした執念にも似た熱意が、頂点への道を切り開く。11日間の熱い夏、熱戦の火ぶたがあす、切られる。
 (上江洲真梨子)