【記者解説】辺野古護岸、施工中にも崩壊の恐れ 「唯一」論拠さらに揺らぐ


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 名護市辺野古の新基地建設を巡る沖縄辺野古調査団の独自調査で、政府の「辺野古が唯一の解決策」という主張が揺らぐ事実がまた一つ明らかになった。普天間飛行場の危険性を除去するための移設先としての適地性は根底から崩れている。地震による護岸崩壊の可能性は、政府の試算より工費や工期がさらに膨らむ可能性を示している。

 調査団によると、軟弱地盤が広がる大浦湾側の護岸は完成後どころか施工中にも崩壊する恐れがある。復旧しても工事を続行するなら、震度1以上の地震が起きる度に工期が延び工費がかさむ。完成まで少なくとも12年、約9300億円かかるという政府の試算より長期化し高額になる。

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備断念が波及し、辺野古新基地建設の中止を求める声がさらに高まっている。米下院軍事委員会の即応力小委員会も軟弱地盤や活断層に言及し、工事を続けることに懸念を示した。

 新型コロナウイルスの影響で経済が打撃を受ける中、限られた財源をつぎ込む公共事業としての妥当性も検証が必要だ。当初から不備が指摘されてきた計画だが、日米両政府にとって中止を決断すべき理由はそろっている。
 (明真南斗)