石破氏の辺野古見直し 海兵隊の抑止力維持が条件 代替に高速輸送力を挙げるも議論生煮え


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 【東京】自民党の石破茂元防衛相が2日の講演で、辺野古新基地建設計画の検証の可能性に言及した。そこでは「辺野古」見直しの条件として、米海兵隊の抑止力維持に向けた議論の必要性を指摘し、その方策として日本側からの高速輸送能力の提供を挙げた。高速輸送能力についてはこれまで日米合意の中に明記されたり、在沖米海兵隊の沖縄県外移転の民間による提言でも取り上げられたりもしたが、海兵隊の抑止力補助の議論としてはまだ深まっていない。

那覇軍港への初寄港が確認された灰色の米高速艇「グアム」(左)と、従来から運用されている白い「ウエストパックエクスプレス」=2017年、那覇軍港

 「私が大臣のときに検討しようと申し上げたが、その後進んでいるとは承知していない」。石破氏は2日の講演で、防衛相時代に検討を指示して以降、日本側の高速輸送能力確保が思うように進んでいないとの認識を示した。シンクタンク・新外交イニシアティブ(ND)が2017年にまとめた提言では日本政府による高速艇提供で沖縄以外を拠点に海兵隊を輸送することを盛り込んだ。

 石破氏の言う高速輸送能力は飛行機と船を想定している。航空機については、輸送量の大きさから「(航空自衛隊の輸送機)C2にならないから、(普天間飛行場にも度々飛来する米空軍大型輸送機)C17という話になるだろう」と語った。

 高速輸送船については、在沖米海兵隊は、那覇軍港にも停泊しているオーストラリアの船「ウエストパック・エクスプレス」を活用して太平洋地域で巡回訓練してきた。米海兵隊は17年から新たな高速船「グアム」も投入し、現在は「フォール・リバー」と合わせて沖縄を中心に西太平洋地域で運用している。

 かつて米軍の海外基地配置見直しの一環で、日米が合意した05年の在日米軍再編中間報告で「(日米)相互の後方支援活動」として「高速輸送艦(HSV)」の活用を明記。一方、日本側では、既に自衛隊が民間の高速艇を借り上げ、北海道から宮古島への地対艦ミサイル輸送などで活用している。日米では、個別の輸送能力の導入が始まっているが、抑止力維持の観点では、ほとんど議論されていないのが現状だ。

(滝本匠)