【深掘り】クラスター恐れなのに…情報出さぬ米軍 独立記念日に多数が街へ 普天間5人感染


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軍属の感染が発表された当日、閉鎖された米軍普天間飛行場の野嵩ゲート=7日午後6時10分、宜野湾市野嵩

 米軍普天間飛行場で軍属5人が新型コロナウイルスに感染した。感染者数を公表したのは米軍ではなく県で、感染を確認した翌日の8日だった。在沖米軍施設で初のクラスター(感染者集団)の可能性がある緊迫した状況だが、米軍の情報公開は不十分なため県民が実態を確かめて検証できない状態に陥っている。

 今月4日の米国の独立記念日、県内で大規模なバーベキューパーティーが催された。大勢の米軍関係者らが参加したという。今回の感染者たちが関わっていたかどうかは不明だが、独立記念日の夜は例年より縮小傾向にあったものの各地で会合が開かれた。

 在日米軍は6月15日、警戒レベルを5段階中、上から2番目のCから3番目のBに引き下げた。さらに9月が年度初めの米国では7、8月は転勤シーズンだ。米軍内や軍属も6月下旬から米本国から大勢の人員が沖縄に入って来ている。

 米海兵隊は海外から来た人に対して14日間の隔離措置を取っていると説明している。だが、その取り組みが徹底されているかどうか基地外から検証するすべはない。

 通常、感染者が出た場合、県はその当日に(1)患者のプロフィル(2)行動履歴(3)検査に至った経緯―などを公表する。感染拡大防止に必要な情報だ。一方、米軍関係者の場合、情報は小出しとなる。

 2013年に日米が合意した覚書で米軍と県の保健当局が情報を交換することになっている。だが県の糸数公保健衛生統括監は8日時点でも「県民との接触があったかどうか、発症の2日前からどういう行動をしていたか、全部情報が来た訳ではない」と述べた。

 米軍は報道機関に対しても「複数人が感染した」などと正確な人数を明らかにしない。問い合わせ先のメールアドレスに質問を送っても8日夜現在、回答はない。米軍は制度上、日本側の検疫を受けず、米国の検疫手続きが適用される。
 (明真南斗)