政府が「骨太方針」案 経済両立へデジタル化推進 コロナ対策、一極集中是正


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 政府は8日に経済財政諮問会議を開き、2021年度予算編成など経済財政運営の指針となる「骨太方針」案を示した。新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立に向け、官民のデジタル化推進や東京一極集中の見直しが柱で、年内に実行計画を策定するとした。成長戦略と合わせて今月中旬に閣議決定する。

 骨太案は、当面は新型コロナ感染防止策を講じながら経済活動を段階的に引き上げるとして、PCRなどの検査体制を拡充し、治療薬やワクチンの開発加速に取り組むなど、医療提供体制の充実を盛り込んだ。二次感染を抑えるための保健所の体制強化も進める。

 デジタル化はこの1年間で集中的に取り組む方針を打ち出した。特に行政分野での遅れが深刻だとして、内閣官房に民間専門家と関係省庁で構成する新たな司令塔機能を設けると明記。行政手続きはオンラインで完結するのを原則とし、マイナンバー制度の抜本的な改善を図る。

 新型コロナで地方移住への関心が高まったのを機に、東京一極集中を見直す方針も強調した。政令指定都市などを中心に街全体をITでつなぐ「スマートシティー」を導入し、企業進出や若年層の就労環境を整備。大都市圏と地方の「2地域居住・就労」も後押しする。

 25年度までに国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する政府の財政健全化目標は、今回の骨太案には明記しなかった。

 テレワークの定着を図るため数値目標を設け、柔軟な働き方を選択できるよう環境を整え、教育のデジタル化や遠隔化にも取り組む。新型コロナ拡大で中国などへの依存が問題視された企業のサプライチェーン(部品の調達・供給網)の多元化を進める方針も示した。

 安倍晋三首相は諮問会議で「質の高い経済、社会の実現を目指す」と述べた。