米軍、コロナ入国検査不徹底 基地の外への配慮欠く 前泊博盛・沖縄国際大教授


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
前泊博盛・沖縄国際大教授

 7、8月で軍関係者5千~7千人が定期異動の時期を迎えるという情報がある。必ずPCR検査をしてから入国させることはできないか米側に聞いたが、不可能との説明だった。米兵は極めて若い世代で普段から鍛えているので、無症状の感染者が多いとの指摘もある。感染させる側に回りかねない。どう管理するかが大きな問題ではないか。

 5万人の軍関係者は基地の内外を行き来しているが、県民や観光客の入域管理と同じように、フェンスの外側に出るときにはPCR検査や、それができなければせめて発熱や症状がないか点検する対応が必要ではないか。全くなされない形で放置されている。

 県も、県内の基地であるにもかかわらず、県内の感染者として米軍関係を入れないのは疑義がある。県民からすれば怠慢だ。

 米軍は厳しい健康管理体制を敷いているというが、管理体制が外向けに公開されていない。県外では、感染が発生した学校に通う子どもの保護者が基地従業員の場合、子どもを学校に通わせないよう規制したという話もある。基地の外側が感染地域である場合にはそのような対応であるのに、内側の感染の場合は外側への配慮を全く欠いている。
 (安全保障論)